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おとり広告はなぜ生まれる? 首都圏に続き近畿でも対策強化へ

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「おとり広告」排除へ。首都圏に続き、おとり広告最多の近畿へも取り組み広がる

不動産を借りる、あるいは購入しようとする消費者に、取引できないのに「まだあります」と言ったり、魅力的に見える架空の内容で誘引する「おとり広告」。
首都圏では「おとり広告」の排除へ向けて、業界、不動産ポータルサイトを含めた取り組みがすでに始まっている。近畿圏でも、この問題解決に向けて新たな動きが始まった。そこで、この取り組みに対する不動産事業者の理解を深めるため、「不動産ポータルサイト広告に関する勉強会」が開催された。おとり広告はなぜ生まれるのか、なくならないのか。近畿圏ならではのある事情も、解説していこう。
警告+違約金で、5つの不動産ポータルサイトへの掲載がストップ

7月20日に開催された勉強会に、筆者も参加してきた。不動産ポータルサイトを利用する不動産賃貸仲介業の経営者、社員を中心に140名の参加のもと、2部に分かれたその勉強会の中身を紹介する。
最初に、(公社)近畿地区不動産公正取引協議会 小田徳行氏によって、表示規約違反業者へのこの8月からの対応について説明があった。

まず、「おとり広告」とはなにか。大きく次の3種類に分類される。

1.架空物件
物件そのものが存在しないため、実際には取引することができない物件

2.意思なし物件
物件は存在するが、実際には取引する意思のない物件

3.契約済み物件
物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件

この「おとり広告」も含めて、ポータルサイト広告適正化部会のメンバー間で2016年度に共有された「おとり広告」は、全国で2812件。そのうち近畿圏は1206件(全国集計の43%)と全国最多だという。エリアごとにみた物件掲載数は、はるかに首都圏が多いはずで、全掲載物件からの比率で言うとダントツに多い違反物件数ということになるだろう。

社会問題化する「おとり広告」に、全国最多の43%を占めている近畿圏の危機感は大きい。そこで、2017年8月から始まった「おとり広告」排除への新たな取り組みとはどのようなものなのか。

まず、不動産ポータルサイトの運営会社によって組織されたポータルサイト広告適正化部会が、おとり広告や悪質な不当表示を把握し、その不動産事業者の情報を共有する。そして、近畿地区不動産公正取引協議会にて表示規約違反として厳重警告・違約金の措置を受けた不動産事業者には、同部会構成会社5社が運営するサイト(at home、CHINTAI、HOME’S、マイナビ賃貸、SUUMO)への広告出稿が、最低1カ月以上、停止されるというもの。

ポータルサイトは今や不動産広告の主力メディアになっている。今までは、各社がそれぞれのサイトで掲載停止等の措置を取っていたものが、各社がおとり広告等の情報を共有することで、一斉にどこにも出稿できなくなれば、営業面での大きなハンディとなることが考えられる。

加えて、違反行為の程度によっては、不動産事業者名や違反の概要、措置の内容が公表される場合もあるということだ。ポータルサイトでの広告掲載ができなくなる上に、事業者名が公表され消費者がそれを知ることになると、物件の問合せをする消費者はいなくなり、企業イメージにとっても大きな痛手となるだろう。

【画像1】熱心に講義を聞く賃貸仲介業の経営者、社員(画像提供/ポータルサイト広告適正化部会)

【画像1】熱心に講義を聞く賃貸仲介業の経営者、社員(画像提供/ポータルサイト広告適正化部会)

情報の質が問われている今、「おとり広告」はもはや通用しない

続いて、リクルート住まいカンパニーの石橋和也氏の講義があった。長く賃貸物件広告の現場で、仲介会社と消費者の意識を見てきた石橋氏は言う。今、不動産広告に消費者は何を一番求めているかというと、それは物件数や、デザインではなく、「情報の正確さ」であると。しかも、その意識は年々高くなってきているそうだ。

リクルート住まいカンパニーが行った調査によると、消費者が物件について問合せたときや来店時に「情報が間違っていた」場合、以後、その会社には問合せをすることがないと答えた比率は、「すでに埋まっていたと言われた」場合や「ウィークポイントを告げられた」場合以上に大きく、間違った情報を掲載する会社には厳しい評価をする傾向が見られるという。

新聞、雑誌、インターネットなどで「賃貸物件のおとり広告」に対する関心も大きい。今や消費者はピンポイントで物件を検索し、それを目的に来店する。「おとり広告」で誘引し、他の物件を紹介することで成約を得てきたスタイルは、効率が悪く経営的にも成り立たなくなるという。

「おとり広告」は、お客さまに対する後ろめたさからくる従業員の精神的な負担も大きく、離職率を高めるリスクもある。加えて規約違反に対する大きなペナルティーを考えると、今や「おとり広告」は消費者にとってはもちろん、不動産事業者にとってもデメリットしかない、と石橋氏は言う。

垣根を越えた取組みで、「おとり広告」のない世界を

賃貸仲介事業者が、消費者のニーズに応えるためには、正確な情報発信を維持していかなくてはならない。そのために最も重要なのが不動産事業者による「物件情報のメンテナンス」だ。

賃貸物件の仲介の場合、家主や管理会社からの依頼を受けて、複数の会社が物件の募集広告を出す場合が一般的だ。その中の一社が成約を得ても、その情報がすぐに他社にまで伝わらない。そのタイムラグが、「契約済」物件が掲載される原因の1つだという。

物件情報のメンテナンス不備による「おとり広告」や「不当広告」は、広告主である不動産事業者の意図や故意、過失の有無を問わない。つまり、単に「削除忘れ」も「知らなかった」も同様に責任が問われるという訳だ。

会場に来ていた賃貸仲介会社の方は、
「不動産業界の信頼を高めていくためにも、このような取り組みはやっていくべきですね」と話された。
なによりもまず、間違った情報を発信することのデメリットをもっと不動産事業者が意識する必要があるだろう。

平成29年1月から首都圏で始まったこの取り組みは、現在、掲載停止となるポータルサイトが5サイトから7サイトに増えるなど、取り組みはひろがりつつある。不動産事業者だけでなく、物件情報が掲載される不動産ポータルサイトも、不当表示等を防止するフィルタリング技術の開発などを通して、システム的な改善も行うべきであろう。

消費者にとっても、不動産事業者にとってもデメリットしかない「おとり広告」は業界全体で垣根を越えて取り組むべき重要な課題だ。事業者は、消費者が最も求めているのは情報の質であることを強く意識し、おとり広告がない当たり前の世界を実現して欲しい。

●取材協力
・ポータルサイト広告適正化部会
・近畿地区不動産公正取引協議会元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2017/09/140492_main.jpg

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夫婦の暮らし方調査[4] 夫婦で快適に眠れる寝室の条件、第一位は?

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夫婦の暮らし方調査[4] 夫婦で快適に眠れる寝室の条件、第一位は?

「ぐっすり眠ることができる」快眠の条件は人それぞれ。でも、一緒に寝ることが多い夫婦なら、快適に眠れる寝室の条件は同じであってほしいはず。今回の夫婦の暮らし方調査では、快適な寝室に関する夫婦間の意見を取り上げてみました。果たして夫婦間で考え方の相違はどれだけあるのか。これから夫婦になる予定の方も、既に夫婦の方も必見です!
快適な寝室の条件は「部屋の温度」と答える人が約半数

最初に、快適な寝室の条件として大切にしているものを挙げてもらったところ、トップは「寝室の温度」(44.7%)でした。特に冷暖房を使う季節は、夫婦間で快適だと思う温度が違うと、お互い不満がたまりがちです。わが家でも、冷房をガンガンかけながら布団に包まって寝るのが好きな夫(体は温かいが、顔がひんやりしているのが好き)に毎日エアコンの設定温度を変えられ、イライラしています。

2位は「ベッド・マットレス・布団の質」(41.0%)。僅差で「寝室の静けさ」(39.3%)、「部屋の広さが十分であるか」(35.7%)となりました。全体の傾向としては、一つの項目が突出しているわけではなく、大切にしている条件が人によりさまざまであることが分かります。

【画像1】「寝室の温度」を重視する人が44.7%で1位となりつつも、全体的にばらける結果に(出典/SUUMOジャーナル編集部)

【画像1】「寝室の温度」を重視する人が44.7%で1位となりつつも、全体的にばらける結果に(出典/SUUMOジャーナル編集部)

また、これらの条件について、夫婦間で意見が一致しているかどうかですが、「一致している」(31.0%)「どちらかといえば一致している」(49.0%)を合わせた「一致している」と回答した人は8割に達しました。

【画像2】全体の8割が程度の差はあれど、「一致している」と回答(出典/SUUMOジャーナル編集部)

【画像2】全体の8割が程度の差はあれど、「一致している」と回答(出典/SUUMOジャーナル編集部)

一方、「一致していない」「どちらかというと一致していない」と回答した2割のなかでは、一致しないと感じるものは「寝室の温度」(30.0%)と答えた人が一番多い結果に。大切にしたい条件はいろいろあるけれど、そのなかでも「温度」は快適さを左右する大きな要素であることが分かります。僅差で「寝室の静けさ」(28.3%)が続きます。

【画像3】こちらも「寝室の温度」がトップという結果に(出典/SUUMOジャーナル編集部)

【画像3】こちらも「寝室の温度」がトップという結果に(出典/SUUMOジャーナル編集部)

同じ部屋で同じベッド・布団に寝ている人は、ダブルサイズ以上が6割

次に、夫婦で寝ているベッドや布団に関して質問をしてみました。第3弾の調査で聞いた寝室の使い方の回答別に聞いたところ、「いつも同じ部屋で、一緒のベッド・布団で寝ている」という人は、シングルサイズからキングサイズまで回答が分かれました。そのなかでも、ダブルサイズ以上の大きさを使っている人が61.9%という結果になりました。シングルサイズは、二つ並べて使っている人を含めても17.9%と少数派。同じ部屋で一緒に寝ている人は、ダブル、クイーン、キングサイズなど、ゆったりとしたサイズのベッド・布団で寝ていることが分かりました。

同じ部屋で寝ている夫婦がどうしてそのサイズを使っているのか、具体的なコメントを聞いてみました。

◆シングルサイズ
・ダブルでなくても十分な大きさだと思うから(53歳・男性)

◆シングルサイズを並べて2台
・いずれ離すこともできるように(29歳・女性)
・風邪をひいたときは、別々のほうが良いと思い結婚当初からそうしている(55歳・女性)

◆セミダブルサイズ
・お互い小柄だし、部屋のサイズ的にもちょうどいい(34歳・女性)
・結婚当初は二人で丁度いい大きさだった(64歳・女性)

◆セミダブルサイズを並べて2台
・寝るときに暴れるので広めのベッドを使っています(53歳・男性)
・子どもも一緒にみんなで寝られるサイズにした(36歳・女性)

◆ダブルサイズ
・二人で寝ても十分な広さで、カバーなどの種類も多いから(31歳・女性)
・ひとつのほうが掃除しやすくコンパクトに配置できるから(43歳・女性)

◆クイーンサイズ
・夫が大きいから(51歳・女性)
・余裕のあるサイズがほしかったから(50歳・男性)

◆キングサイズ
・親に買ってもらった(49歳・女性)
・シングル分の広さが欲しいから(45歳・男性)

現在使っているベッドのサイズで不便さを感じるかについては、8割強が「不便さを感じることはない」と答え、不満は持っていないことが分かります。

【画像4】ベッドが狭くても、特に不便さを感じることはないようだ(出典/SUUMOジャーナル編集部)

【画像4】ベッドが狭くても、特に不便さを感じることはないようだ(出典/SUUMOジャーナル編集部)

「不便さを感じることがある」という人には、どんな不便さがあるのか具体的に聞いてみました。

・夫が酔っ払って帰宅した際に、体温が上がっているせいで、隣でよく寝返りを打つが、こちらにも侵食してきて邪魔(32歳・女性)
・寝返りなどの振動が気になる(54歳・女性)

など寝返り問題を挙げる人が多数。

・子どもと一緒に寝ているけど、(子どもの成長で)どんどん狭くなっている(36歳・女性)
・子どもと三人で川の字で寝ているが、子どもの寝相が悪くて困っている(53歳・女性) 

など、子どもと寝ているために起こる問題を抱える人も多くいるようです。

今回の調査結果では、快適な寝室の条件として大切にしているものが夫婦で一致している人が8割にも及ぶことが分かりました。一日を締めくくり、一日が始まる寝室は、住まいの中でも重要なスペースです。快適さを感じる条件は人によりさまざまなようですが、そのなかでも「部屋の温度」は大きな比重を占めるようです。暑すぎたり、寒すぎたりすると目が覚めてしまいますし、その後も眠りに入りにくいもの。この条件が一致しているのは夫婦として幸せなこと。また、現在使っているベッドに不満があるかについても、8割は不満がないという結果でしたが、不満がないということはやはり幸せ。夫婦円満の秘訣って、こういう小さな一致や満足感が重要な気がします。

お互いの快適さの条件が違う場合には、譲り合うか、部屋を別にするしかありません。部屋を別にするほど空き部屋の余裕があればいいですが、そうはいかないのが現実。毎日小さな不満が募り、爆発してしまう前に、自分はどうしたら快適に眠れるのかを話し合えるといいですね。

次回は夫婦で過ごす部屋のインテリアをどうやって選んでいるかについての調査です。お楽しみに。

●調査概要
・[夫婦の暮らし方に関するアンケート]より
・調査期間 2017年7月10日~7月11日
・調査方法:インターネット調査(ネオマーケティング)
・対象:全国にお住いの20~69歳の既婚者
・有効回答数:男女300名(男性150名、女性150名)元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2017/09/140572_main.jpg

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頭金ゼロでもローンは組めるが、貯蓄ゼロでは家は買えない

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頭金ゼロでもローンは組めるが、貯蓄ゼロでは家は買えない

「頭金ゼロで家が買える!」などと書いてある広告を見ると、貯蓄がなくても家が買えると思ってしまうかもしれない。でも、実際には家を買うときに諸費用がかかるため、最低でも数百万円の現金が必要になるのだ。
住宅ローンとは別に諸費用は現金で用意する

頭金がなくても住宅が買えるということはつまり、住宅ローンで住宅価格の100%を借りることができるということだ。例えば4000万円の家を買うのに4000万円の住宅ローンを借りられれば、頭金はゼロで買える。

「それなら、手持ちのお金がゼロでも家が買えるの?」と思う人もいるかもしれない。だが、「頭金ゼロ」と「手持ち資金がゼロ」とは意味が違う。なぜなら、家を買うときには税金や手数料などの諸費用がかかるからだ。

諸費用は手持ち資金から現金で支払うのが原則だ。なかには諸費用まで住宅ローンに含めて借りられたり、住宅ローンとは別に諸費用ローンが組めたりするケースもある。これならたしかに、手持ち資金ゼロでも買えるが、あまり勧められる買い方ではない。

というのも、住宅ローンで価格の100%を借りたうえで、さらに諸費用分まで追加で借りると、借入額が住宅価格を上回る「オーバーローン」になるからだ。借入額が多くなると、それだけ返済額の負担が重くなる。だけでなく、オーバーローンだと家を売って住み替えようと思っても、売ったお金でローンが返しきれず「売るに売れない」状態になってしまう。

住宅ローンの返済方法で一般的な元利均等返済の場合、返済の当初は返済額のうち利息の占める割合が大きいので、借りたお金(元金)がなかなか減らない。そのうえ、住宅は買ってから年月が経つうちに売るときの価格(資産価値)が減っていくのが一般的なので、いったんオーバーローンになるとなかなかそこから抜け出せないという事態に陥ってしまいかねない。

諸費用は住宅価格の3%~10%は必要

ところで諸費用にはどんなものがあるかというと、まず売買契約のときに印紙税が数万円かかるほか、所有権の登記に必要な費用が20万円~30万円程度必要だ。中古住宅や新築一戸建てを仲介会社を通じて買うときは仲介手数料として住宅価格の3%強がかかる。

住宅ローンを借りるときの費用も大きい。金融機関への融資手数料やローン保証料、ローン契約のときの印紙税、抵当権設定のための登記費用、火災保険料など、数十万円~100万円前後かかるのが通常だ。10万円前後の団体信用生命保険料がかかる場合もある。

このほか、固定資産税などの精算金や、新築マンションの場合は修繕積立基金、注文住宅なら地盤調査費用なども必要だ。家を買うときにかかる不動産取得税や、親から援助を受けた場合の贈与税といった費用もある。

これらの諸費用を合計すると、住宅の種別により価格の3%~10%程度になるのが一般的だ。中古住宅や新築一戸建てで仲介手数料がかかる場合は、諸費用に加えてさらに価格の3%強が必要だが、新築マンションのように仲介手数料が不要な場合は価格の3%程度で済むことも多い。住宅価格が4000万円とすると、120万円~400万円程度ということになる。 家を買うときには、最低でもこれだけの現金を手元に用意する必要がある。もちろん、家を買って貯蓄がゼロになるのは不安だから、数カ月分の生活費も別途残しておくべきだろう。

家を買うときの頭金は本来、住宅価格の2割程度が目安とされている。今は超低金利なので頭金ゼロで買っても返済負担がさほど重くない人もいるかもしれない。だが、諸費用や生活費のことも考えて、余裕のある手元資金を確保しておきたいものだ。

元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2017/08/140473_main.jpg

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夫婦の暮らし方調査[5] 夫婦で過ごす部屋のインテリア選び、主導権を握るのはどっち?

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夫婦の暮らし方調査[5] 夫婦で過ごす部屋のインテリア選び、主導権を握るのはどっち?

一つの家に住むとき、家具や家電、カーテンなど、全体のインテリアは夫婦でどうやって決めているの? 二人で? それともどちらかの意見を尊重? 夫婦の暮らし方調査の第5弾では、男女間での考えの違いやインテリアを決める際のエピソードなどについて取り上げます。これから住まいを決めるという人は要チェックです!
インテリアに関しては、妻の意見が優先されることが多い

夫婦で住まいのインテリアの好みは合うもの? そんな疑問への回答は、「合う」「どちらかといえば合う」を合わせると74%もの人が「合う」と回答し、「合わない」「どちらかといえば合わない」は合わせても22%でした。

【画像1】インテリアの好みは7割強が「合う」「どちらかといえば合う」と回答(出典/SUUMOジャーナル編集部)

【画像1】インテリアの好みは7割強が「合う」「どちらかといえば合う」と回答(出典/SUUMOジャーナル編集部)

また、夫婦でインテリアに関する意見の相違があった場合、どう決めているかを聞いたところ、「二人で話し合って決める」(35.7%)をおさえて「妻の好みを優先する」(42.0%)がトップとなりました。

【画像2】意見の相違があった場合は、妻の意見が優先されることが多い(出典/SUUMOジャーナル編集部)

【画像2】意見の相違があった場合は、妻の意見が優先されることが多い(出典/SUUMOジャーナル編集部)

「夫の好みを優先する」が8.0%しかないことを考えると、「部屋や場所によって分けている」(13.3%)も一部あるものの、インテリアに関しては妻の意見が通ることが多いことが分かりました。家具や家電など住まいのインテリアに関しては、男性より女性のほうがこだわりが強いのかもしれません。

意見の相違点は、カーテンの色や柄、家具・家電の価格帯など

具体的にどんな相違があったかと聞いたところ、以下のようなコメントが挙がりました。

【夫】
・カーテンの色が、暖色か寒色か(38歳)
・色、価格帯が合わない(40歳)
・自分はあまり意見を言わないが、妻のこだわりが強すぎるときには自制を促す(42歳)
・好みの違いはあるが、面倒くさいので意見しないで妥協している(50歳)
・自分自身にこだわりはない。安ければいい(51歳)
・照明。部屋の明るさの問題。私はホテルのような間接照明が好きではない(65歳)
・和風VS洋風(65歳)
・妻はアンティークが好きだが私は興味なし(69歳)

【妻】
・夫はシンプルが好き、わたしは派手好き(30歳)
・リビングのカーテンの色でお互いの意見が合わなかったときは、ネットなどでインテリアをいろいろ調べて決めた(31歳)
・私は機能性、値段重視。夫は見た目重視で値段が高くてもあまり気にしないので、その中間の物を選ぶことが多い(32歳)
・夫の趣味はださい(44歳)
・夫はインテリアにあまり感心がないので、好きにしていいと言ってくれるから(48歳)
・自分はシンプルでモダンが好きだが、夫はアジアン系が好きなので合わない(58歳)
・照明の明るさの違いで意見が合わなかったことがあった(66歳)
・それぞれが、自分の趣味の物を飾りたい(69歳)

毎日過ごす場所だから、部屋のインテリアに関して妥協はしたくないもの。でも、夫婦といえども、意見の相違があることもあるでしょう。今回の調査では、最終的に妻の意見を尊重する夫婦が多いことが分かりました。
コメントを見ていると、男性側は「あまり意見がない」「シンプルが好き」「こだわりがない」、女性側は「夫が私に任せてくれる」「夫は家具にこだわらない」という人が多く、女性のほうがインテリアに関して意見があることが多いことが分かります。好きな家具や家電があると気分は上がるもの。女性は特にその傾向があるのかもしれませんね。
また、意見の相違がある場合も、話し合いはあるが、インテリアにこだわりのある女性側の意見が通る夫婦関係が多いようで、これが夫婦円満の秘訣なのかもしれません。

次回は夫婦間でのお金の使い道に関しての調査です。どのような点で妻・夫にイライラするのか、高価なものを買うときは相談するのかなど、ほかの夫婦はどうしているのか、ズバリ聞いていますのでご期待ください!

●調査概要
・[夫婦の暮らし方に関するアンケート]より
・調査期間 2017年7月10日~7月11日
・調査方法:インターネット調査(ネオマーケティング)
・対象:全国にお住いの20~69歳の既婚者
・有効回答数:男女300名(男性150名、女性150名)元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2017/09/140574_main.jpg

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同じ部屋に長く住み続けると、家賃を下げてもらうことはできる?

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同じ部屋に長く住み続けると、家賃を下げてもらうことはできる?

新築で買った家も、10年もたてば価値は大きく下がるといわれています。でも、それは持ち家に限らず「賃貸」でも同じこと。長く住んでいれば設備も老朽化し、物件としての価値は下がっていくはず。なのに、経年に伴い「家賃を下げてもらえた」という話はあまり聞きません。

実際のところ、入居期間が長くなるほど「家賃交渉」はしやすいものなのでしょうか? 大家さんの事情や心理、実際に交渉を行う際のポイントなどについて、賃貸物件の管理会社に長年勤務しているハウスメイトパートナーズ東京営業部課長の谷 尚子さんに聞きました。
家賃交渉の前には、 “周辺相場+α”をチェックしよう

そもそも、家賃交渉をすることはアリなのでしょうか? 大家さんの心証を著しく損なってしまうことはないのでしょうか?

谷さんいわく、大家さんとの家賃交渉は「常識と礼儀をもって交渉すれば、デメリットはないと思います」とのこと。ただし、その際は、家賃の値引きをお願いするだけの“根拠”をきちんと示すことが重要といいます。

「退去があったときに少しずつ家賃が下がっている賃貸物件は、年月がたつとほかの部屋との家賃差が出ることがあります。そういう場合は、交渉が成立する可能性が高いと思います。一方で、賃料が下がっていないという物件は、人気を保てているということなので交渉しても難しいことが多いです」(谷さん、以下同)

また、部屋の状態や話し合いをするタイミングによっても、状況は変わってくるそうです。

「そのお部屋に住んだ歴代の入居者の使い方によって、部屋の値段は変わってきます。また、賃貸不動産の募集家賃は、繁忙期には高くなり、閑散期には低くなる傾向があるため、市場が強気になる時期に交渉しても、うまくいかないと思います。家賃交渉をしたいのであれば、周辺相場と併せて、ほかの部屋の状況やタイミングなども考慮した上で、交渉していただいたほうがいいと思います」

「築年数↑≠家賃↓」。家賃を下げられない大家さんの事情

ただし、どんなに交渉を試みても、「家賃はどうしても下げたくない」と考える大家さんも少なくないようです。

「そもそも賃貸物件とは、大家さんが数千万~億単位の借り入れをして、30~35年のローンを返済しながら経営をしているもの。分譲マンションと同じで、『古くなったから家賃を下げてほしい』と言われても、簡単に家賃交渉に応じられない理由があるのです。もちろん、大家さん自身がその物件の市場価値を下げない努力をすることが必要ですが、築年がたったという理由だけで値下げ交渉をするのは大きな間違いだと思います」

また、「家賃を決めるのは“機械”ではなく、“大家さん”という人間です」と谷さん。「下げて当然」といった態度では、なかなか聞く耳をもってもらえないと指摘します。

「例えば、新築に入居して初めての更新で家賃交渉をするというのは、よっぽどの理由がない限り大家さんも管理会社も違和感を抱きます。そういう入居者さんは、相手の事情を考えずに、とにかく自分だけが得したい人に映ってしまうからです。また、“下げて当然”という態度で交渉するのと、“お願いベース”で交渉するのとでは、結果が違うと思います。家賃交渉は『お互いの同意のもとで成立する』ことを理解した上で、相手の感情を動かさないと成功しません。

また、家賃交渉をしてきた方が、例えば過去に家賃滞納を繰り返していたり、ごみをきちんと分別しないで何度も注意されていたり、騒音で周辺のお部屋に迷惑をかけていたりと、いわゆる『マナーに問題のある方』の場合は、大家さんは家賃を下げてまで長く住んでもらいたいとは思いにくいものです。先々家賃交渉をしようと思われている方は、ご自分の生活マナーについても一度振り返ってみてくださいね」

“家賃交渉”or “住み替え”を判断する基準は?

谷さんのお話をおさらいすると、家賃交渉の余地があるケースは以下の3つ。

・住み続けたいという意思があること
・自分が住む部屋と同タイプの部屋が安くなっているなど、家賃を下げてもらう根拠があること
・自分が大家さんにとって、家賃を下げてでも長く住んでもらいたい「良い入居者」であること

ただ、物件の状況によっては無理に交渉をせずに「住み替え」を選んだほうがいい場合もあるようです。

「老朽化してきて大きな修繕が必要なのにもかかわらず、修繕か建て替えか、もしくは所有をやめて売却かの結論が出ていない物件もあります。今後の賃貸経営の後継者や経営方針が決まっていないケースが多いのですが、こうした物件では良い住環境の継続が望めません。その場合は、住み替えを検討したほうがいいと思います」

“家賃交渉”か“住み替え”か。いずれを選択するにせよ、まずは自分の住まいの状況や周辺相場についての下調べが重要になりそうです。そして、いざ大家さんと話し合うときには、自分の“人間性”が見られていることもお忘れなく!

●取材協力
・ハウスメイトパートナーズ元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2017/09/140484_main.jpg

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配達員にも「神アプリ」? 「人に優しく」再配達ゼロへ、AIで挑戦

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配達員にも神アプリ? 宅配ボックス「再配達ゼロ」へ

インターネット通販がますます便利になり、社会問題になっているのが宅配荷物の「再配達」。最近は負荷に耐えかねたクロネコヤマトがAmazonの当日便から撤退を始め、消費者が不安を感じることも増えた。

ユーザーはますます自由度の高い受け取り方法を求めている。しかしその負担はこれまで、配達業者にのしかかっていた。受け取り手にも、配達員にも優しい解決方法はないのだろうか。AIを活用した自動架電サービスや住戸専用宅配ボックスなど、再配達問題の改善に取り組む企業を取材した。

「不在なら、行かない」 宅配員にも「神アプリ」登場

荷物を受け取る側は意識していなくても、宅配便の配達員は大変な重労働。目的地に向かい、駐車場を探して、荷物を降ろして、台車で運んで、いざピンポンを押したら「いない……」の繰り返しでは心も折れてしまいそうだ。そんな重労働を減らすべく、配達員にも優しい宅配システムを――。と開発されたのが、株式会社トレイルの自動架電サービスだ。

【画像1】トレイルが開発したシステムの仕組み

【画像1】トレイルが開発したシステムの仕組み ※自動音声に対する返答方法はプッシュボタンによる番号選択式から音声による「はい」「いいえ」に変更予定(画像提供/トレイル)

トレイルのソリューションは、配達員のトラックにGPSのついたスマートフォンを積み、配達先に近づくと、クラウド上の架電サーバーから自動で電話をかけて配達先の在宅・不在を知ることができるというもの。配達システムから電話を取った人には以下のようなアナウンスが流れる。

「こちらは、XX配達センターです。これからお届けする荷物がございます。お届けのお時間は、13時から15時の間になる予定です。このままお受け取りいただける方は、『はい』と言ってください。ご不在予定の方は、『いいえ』と言ってください。ピッ」

不在予定の人は、そのまま再配達日時を言うこともできる。入力された情報は、リアルタイムで配達員のスマートフォンに届く。

トレイルの代表取締役で、このシステムの開発者でもある奥野栄倫さんは
「ドライバーさんに言わせると『神』みたいなアプリなんです」
と話す。

しかも、このシステムは自動で電話をかけるだけではなく、受けることもできる。配達先が初回の着信に気付かなくても折り返し電話をくれればその電話を受け、ドライバーの位置と配達先の距離に応じて応答内容を変えていくのだ。もし近くにいれば配達予定の音声を流し、すでに遠くまで来てしまった場合は再配達の受け付けや配達先の変更を受け付ける。その際、音声をAIで自動認識するため、荷物の受け取り手も、配達員も、プッシュボタンで操作する必要がない。

写真/PIXTA

写真/PIXTA

「不在通知を受け取った人の50%はドライバーに直接電話をかけるといいます。18時以降、鳴り止まないらしいですね。仕事から帰って来て、不在通知を見た人から『持って来て』の一斉コールがかかる(笑)。宅配便のドライバーは運転マナーを徹底的に教育されているので、そのたびにトラックを止めて電話に出て……。それで配達が遅くなればなったで、怒られる。本当に大変です」(奥野さん、以下同)

「これも自動音声で行けば、『(配達先が)帰って来たよ』と端末に出てくるので運転しながら『次はここへ行こう』と行き先を変えることができます。要は、ドライバーの横にアシスタントがいて『僕が確認しますから』って電話をかけたり受けたりするシステムですね」

宅配便も「UberEATS化」!?

実用化されれば、ドライバー不足の問題も解決することができる。

宅配便は「一つ配達完了したら、数百円」という世界。配達先の不在が多い昨今では、担当エリアを決められた時間内に配りきるのは至難の業だという。熟練のドライバーはどのマンションのどの住人は何曜日の何時ごろなら在宅している可能性が高いか、までをあらかじめ把握しており、日々エリア内のマンションを回る順番も考えながら配達に出かける。

こうした「職人技」は一日二日で習得できるものではないため、宅配業界のドライバー不足に拍車をかけてしまっているそうだ。

写真/PIXTA

写真/PIXTA

トレイルのシステムを使えば確実に届けられる確率が高くなるため、主婦が平日の午前中に配ったり、学生が学校終わりに配達したり、アルバイトやパートタイム化も可能になるかもしれない。実際、米シアトルでは2015年から、一般人が隙間時間にAmazonの荷物を配達する「Amazon Flex」が始まっている。日本では類似のサービスとして、一般人が配達員となって、アプリから注文された料理をレストランに受け取りに行き、注文先に届ける「UberEATS」が好評だ(2017年9月現在、東京23区内のみ)。

「日本でも、宅配便の『UberEATS 化』が現実的になってきます」と奥野さんは話す。

「WebやLINEでできる再配達も便利ですが、お年寄りなど、使いこなすのが難しい人もいる。電話は昔ながらのシステムですが、自動音声認識技術なども活用して、『みんなに優しく』再配達問題の解決に取り組んでいきたい」

2017年9月ごろから、宅配業者との実証実験を予定している。

マンションの宅配ボックスも「1人1個」に

定番と思われる、集合住宅の「宅配ボックス」も進化している。とても便利な宅配ボックスだが、荷物量が激増した近年では常にいっぱいで、配達員が自分の荷物を入れられないこともある。

ならば、部屋ごとに専用の宅配ボックスを、と開発されたのが、「ライオンズマイボックス」だ。開発したのは、ライオンズマンションを展開する株式会社大京と、35年前に宅配ボックスを初めて開発した株式会社フルタイムシステム。

【画像2】一住戸専用の宅配ボックス「ライオンズマイボックス」

【画像2】一住戸専用の宅配ボックス「ライオンズマイボックス」(画像提供/フルタイムシステム)

ライオンズマイボックスの最大の特徴は、マンションなどの集合住宅で各室に専用の宅配ボックスがついていることだ。専用ボックスのサイズは縦210cm、横270cm、奥行き420cmほど。

宅配サービス会社に実施したヒアリングで、宅配される荷物のサイズは「80サイズ(3辺の合計が80cmまでの荷物)」が最も多いことからこの規格を決めた。専用ボックスに入らない荷物用に、全共用の大型宅配ボックスも全戸数の15%以下の割合の戸数で設置されている。

住戸専用ボックスによって可能になるのが、1つのボックスに複数の宅配業者の荷物を入れられることだ。例えば201号室の住戸専用ボックスであれば、先にクロネコヤマトが配達した後に、容量さえいっぱいでなければ、佐川急便と日本郵便も荷物を入れることができる(※2017年9月時点ではヤマト運輸・佐川急便・日本郵便の3社に限定)。荷物の受け取り手はもちろん、配達員にとってもうれしい設備だ。

荷物の盗難などを防止するためセキュリティ対策のため、宅配業者にセキュリティカードを持ってもらい、どの業者がいつ、どの部屋のボックスを開け閉めしたのか、という履歴もデータでしっかり残していく。

これはコントロールシステムを持つフルタイムシステムだからこそ、可能な仕組みだ。1983年、マンション用の宅配ロッカーが誕生した年に、コントロールサービスも開始した。故障や障害時にロッカーから警報を受信して対応したり、現地ロッカーの収納物、リーダーなどの情報を把握したりすることもできる。このコントロールセンターは、直営で24時間、365日稼働している。

【画像3】「ライオンズマイボックス」から荷物の出し入れをする様子。

【画像3】「ライオンズマイボックス」から荷物の出し入れをする様子(画像提供/フルタイムシステム)

フルタイムシステム代表取締役副社長の原周平さんは、「まず(宅配)ボックスありき、ではなかった」と創業のプロセスを振り返る。

「(ユーザーや配達業者のニーズに応えるために)24時間365日の管理人サービスを構築したかった。その手段が宅配ボックスだったのです」(原さん)

今はその「管理人役」をITがサポートしている形になるだろうか。

ライオンズマイボックスはスペースをとるため、既存の物件に設置するには設置スペースを検討する必要がある。2018年3月に完成竣工する「ライオンズ東綾瀬公園グランフォート」をはじめ、17年度中に5棟、来年度には10棟のマンションに導入を考えている。

写真/PIXTA

写真/PIXTA

取材を始めてから、街で宅配業者を見かけると無意識に目で追ってしまうようになった。猛暑の最中、額に大粒の汗を浮かべ、大きな台車を押している。ネットで何でも買えるようになり便利になったけれど、その分の負担をすべて、配達業者が受けている。筆者自身、都合が合わず何度も再配達してもらったこともある。誰かが「便利」を享受するとき、どこかにしわ寄せがいってしまう。しかし今回取材したサービスは、配達員にも、受け取り手にも、両方に優しいシステムが実現できるのではないかと思う。その視点こそ、再配達問題のカギになるのではないかと感じた。

元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2017/09/140705_main.jpg

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「渋谷」まで10分圏内! 乗り換えなしで家賃相場が安い駅ランキング

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「渋谷」まで10分圏内! 乗換なしで家賃相場が安い駅ランキング

ファッションやグルメの話題のショップが軒を連ね、流行に敏感な若者を中心に多くの人であふれる渋谷駅。2017年春には宮下公園向かいにオフィスやカフェ、住居などからなる複合施設「渋谷キャスト」が誕生したほか、2019年度の開業へ向けて渋谷駅に地上47階建ての駅ビル建築も進んでおり、今後にも期待が高まる。そんな人気の街・渋谷まで乗り換えせずに10分以内で行ける、家賃相場が安い駅を調査してみた。10分離れるとどれほどリーズナブルに住めるのか? さっそく見ていこう。●渋谷駅まで乗り換えなしで10分以内の家賃相場が安い駅ランキング
順位/駅名/家賃相場(路線/渋谷駅までの所要時間)
1位 明大前 7.6万円(京王井の頭線/10分)
2位 桜新町 7.9万円(東急田園都市線/8分)
2位 東松原 7.9万円(京王井の頭線/8分)
4位 下北沢 8万円(京王井の頭線/6分)
4位 新代田 8万円(京王井の頭線/7分)
6位 駒沢大学 8.2万円(東急田園都市線/6分)
7位 池ノ上 8.5万円(京王井の頭線/4分)
7位 学芸大学 8.5万円(東急東横線/7分)
7位 三軒茶屋 8.5万円(東急田園都市線/4分)
7位 祐天寺 8.5万円(東急東横線/6分)
11位 都立大学 8.7万円(東急東横線/10分)
12位 大崎 9万円(JR山手線/9分)
13位 池尻大橋 9.5万円(東急田園都市線/2分)
13位 新大久保 9.5万円(JR山手線/10分)
15位 駒場東大前 9.8万円(京王井の頭線/2分)
15位 五反田 9.8万円(JR山手線/8分)
15位 中目黒 9.8万円(東急東横線/3分)

電車1本で10分離れると家賃相場は渋谷駅よりも4万円以上ダウン!

渋谷駅にはJR各線のほか、東急田園都市線、東急東横線、京王井の頭線、東京メトロ半蔵門線・銀座線・副都心線が乗り入れている。そのうちトップ15には東京メトロ各線をのぞく4つの路線がランクイン。1位にランクインしたのは渋谷駅まで約10分で行ける京王井の頭線・明大前駅で、家賃相場は7.6万円だった。

ちなみに今回の調査時、渋谷駅の家賃相場は11.7万円。1位の明大前駅は渋谷から電車で約10分離れただけで、家賃相場が4.1万円も下がるという結果に! これだけ安くなるのは明大前駅が不便な立地だからかというと、そんなことはない。京王井の頭線と京王線の乗換駅であり、各駅停車から急行、京王線の特急まで全列車が停車する。京王線の特急に乗れば、明大前駅から新宿駅まで約6分だ。駅周辺施設を見てみると、今年開業10周年を迎えた駅ビル「フレンテ明大前」があるほか、明治大学のキャンパスをはじめ高校や専門学校が点在しているため、学生向けのリーズナブルな飲食店があるのもうれしいポイントだ。

同率2位の東松原駅は、1位の明大前駅から京王井の頭線で1駅。よその街から人が押し寄せるような大型商業施設がない半面、人混みとは無縁の静かな住宅街という点が魅力。しかし毎年2月は例外で、駅南側に広がる「羽根木公園」の梅林を愛でるために多くの人が訪れる。こちらの公園は梅の時期以外にも春は桜、秋は色付いたイチョウ並木が迎えてくれ、日ごろは地域住民の憩いの場として親しまれている。また、東松原駅から15分ほど歩くと、さまざまなお店が立ち並ぶ4位の京王井の頭線・下北沢駅へ。休日には散歩がてら、下北沢で遊ぶのも楽しそうだ。

【画像1】京王井の頭線(写真/PIXTA)

【画像1】京王井の頭線(写真/PIXTA)

都心交通網の大動脈・JR山手線の駅や、人気の街・中目黒もトップ15入り

都内を代表する路線といえるJR山手線からは3駅ランクイン。そのうち12位・大崎駅は品川区に位置し、JR線のほかに、お台場エリアや新木場へ向かうりんかい線が乗り入れている。駅東口側にはオフィス棟や商業施設からなる大型複合施設「大崎ニュー・シティ」や、オフィス棟やショップに加えて住居棟もある「ゲートシティ大崎」、タワーマンションがそびえ立つ。西口側にも大型マンションはあるが、少し離れると一戸建て住宅や一人暮らし向けの集合住宅の姿もあって、オフィス街の印象が強い東口側よりも住宅街らしい雰囲気だ。

【画像2】大崎駅前(写真/PIXTA)

【画像2】大崎駅前(写真/PIXTA)

トップ15のうち、渋谷駅からの所要時間が最短なのは13位の東急田園都市線・池尻大橋駅。電車で1駅乗れば、もう渋谷駅に到着する。街の雰囲気は渋谷よりもぐっと落ち着いていて、一人暮らしはもちろんファミリー層の住民も数多い。もし子育て世帯で池尻大橋駅周辺に住まいを探す場合は、ひとつ注意したい点がある。駅の東側は目黒区、西側は世田谷区になっており、それぞれの区によって子育て関連の助成や保育所数などが異なっている。そうした制度を事前によく調べて、どちらの区に住むかを決めたほうが納得のいく生活になるだろう。

15位には東急東横線の中目黒駅がランクイン。中目黒駅はリクルート住まいカンパニーの調査「みんなが選んだ住みたい街ランキング2017 関東版」で住みたい街8位に選出されている。同調査で渋谷駅は10位だったので、みんなからの人気は渋谷よりも高く、家賃相場は渋谷よりも低いためお得な駅といえる。2016年11月には東急東横線高架下に商業エリア「中目黒高架下」がオープン。カフェも併設した「中目黒 蔦屋書店」や話題の飲食店など30店舗が軒を連ね、もともと高かった街の人気をさらに高めた一因となったのではないだろうか。

今回ランクインした駅の家賃相場は都内でも安い部類とは言えないものの、それでも渋谷駅と比べるとだいぶリーズナブルだろう。渋谷駅から電車で10分圏内ならば、十分に都心部といえるロケーションでもある。「渋谷に住みたい」と憧れつつ、なるべく家賃を抑えたいなら、今回ランクインした駅で住まい探しをしてみてはいかがだろう。

●調査概要
【調査対象駅】渋谷駅まで乗り換えなし・所要時間10分以内の駅
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、10m2以上、ワンルーム・1K・1DKの物件(定期借家を除く)
【調査期間】2017年3⽉1⽇~2017年5⽉31⽇
【家賃の算出⽅法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(アパート/マンション)の管理費を含む⽉額賃料から中央値を算出。(随時更新のため、物件数は変動の可能性があります)元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2017/08/139871_main.jpg

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隣人の生活音が聞こえない家に住みたい! そんな家を見つけるコツってあるの?

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隣人の生活音が聞こえない家に住みたい! そんな家を見つけるコツってあるの?

集合住宅に暮らしていると、隣人や階上からの「音」に悩まされることがある。あるいは逆に、自分の生活音によってトラブルに発展することも……。賃貸物件を探す際、音に悩まされない部屋を見つけるにはどうしたらいいのだろうか? 専門家に聞いた。
建物を建てる際に順守すべき「防音基準」は、ない!

まずお話を伺ったのは一級建築士の佐川旭氏(佐川旭建築研究所)。そもそも、集合住宅用の建物をつくる際に、防音の基準などは定められているのだろうか?

「建築基準法では『壁の厚さ』の基準は定められていますが、音に対しての定めはありません。防音に関する規定があるのは『環境基本法』です。住宅専用地域であれば昼間は55dB(デシベル)以下、夜間は45dB以下。商業と住居が混在している地域であれば昼間は60dB以下、夜間は50dB以下となっています(第16条)。ちなみに、渋谷のスクランブル交差点で80~90dBくらいといわれていますね。ただ、このdB値は『建物の外の音』に関しての基準であり、建物内、つまり隣人の音に対しては適用されません」(佐川氏)

また、建築基準法による「壁の厚さ」も、音という点ではあまり関係がないという。

「重要なのは、壁と壁の間に『どういう施工をしてあるか』ということ。例えば、断熱材がしっかり入っていれば音は聞こえにくくなります。なかには石膏ボードを2枚重ねて遮音性を高めているケースもあります。

ただ、上下階の場合は壁の厚さが重要になります。床構造をつくるスラブというコンクリートの厚さは、分譲マンションの場合だと20cmくらいが標準的な厚さです。賃貸用の場合はよほどの高級物件でない限り、それより薄いのが一般的ですね。スラブを厚くすれば、そのぶん基礎工事にもお金がかかります。結局は、大家さんがどの程度防音に対して気を配っているか、ということに尽きると思います」(佐川氏)

住まいの不満トップは上階や隣人からの“音”。音に配慮した賃貸住宅も登場

音というのは人によって感じ方が異なるため、基準を定めてルール化するのは難しいのかもしれない。とはいえ、音による隣人トラブルは確実に顕在しているため、住宅メーカーも防音対策に力を入れ始めているという。

賃貸住宅「シャーメゾン」シリーズを手掛ける積水ハウスによると、「住まいに感じる不満のトップは『上階や隣からの音がよく聞こえる』こと。特に、上階からの足音、人の話し声といった騒音が気になるとおっしゃる方が多くいらっしゃいます。

そうした声を受け、当社では2010年より『SHAIDD(シャイド)』という高遮音床システムを物件オーナーの方へご提案させていただいております。現在、シャーメゾンシリーズの標準仕様となっている『SHAIDD55』は、上からの床衝撃音を一般的な鉄骨造の約半分に低減することが可能です」とのこと。

【画像1】「SHAIDD」の断面図。衝撃音を吸収するダイナミックダンパーを天井下地に組み込むなど、いくつかの技術が特許を取得している。子どもが飛び跳ねたときのドスンという音、食器が落ちたときのコツンという音など、高い遮音性能を発揮する(写真提供/積水ハウス)

【画像1】「SHAIDD」の断面図。衝撃音を吸収するダイナミックダンパーを天井下地に組み込むなど、いくつかの技術が特許を取得している。子どもが飛び跳ねたときのドスンという音、食器が落ちたときのコツンという音など、高い遮音性能を発揮する(写真提供/積水ハウス)

なお、SHAIDDは現在11万戸以上に採用され、新しく建てられる賃貸住宅への採用率も高い。

「遮音配慮の技術自体は進歩していて準備はあるものの、普及していかなければ意味がありません。賃貸住宅の『上階や隣からの音が響く』というイメージを払拭し、入居者ファーストの訴求に向け、強力に推進を図っているところです」

音が気にならない家を探すポイントは?

ただ、増えてきているとはいえ、こうした遮音性の高さを売りにしている賃貸物件はまだまだ少ない。特に、個人経営のアパートなどでは、特別な対策がとられているケースは「ほとんどない」と佐川氏は指摘する。

では、そうした現状をふまえたうえで、それでも少しでも「隣人の音」が気にならない部屋を探す方法はないのだろうか? そのポイントについて、賃貸物件の仲介を行うミニミニ関東本部の永田徹氏に聞いた。

「音を気にされるお客様にまずご提案するのは、分譲マンションの一部を賃貸にしている、いわゆる『分譲賃貸』です。家賃は割高になりますが、分譲賃貸であれば話し声や生活音が漏れ聞こえてくる心配はほぼありません」(永田氏)

また、予算的に分譲賃貸が厳しい場合でも、ある程度であれば隣人の音が気にならない部屋かどうかを推測する方法はあるという。

「注目すべきは、隣接する部屋同士や上下階の『間取りの配置』です。自室の壁の向こう側が、隣の部屋のどの部分と接しているのか? 壁一枚なのか、収納等が挟まれているのか? さらに、隣人の生活パターン(就寝時間等)が自分と一緒なのか? そういったことで音の問題はかなり違ってきます。仮に壁の向こう側がリビングだとしても、生活パターンが一緒の人であればリビングを挟むことで寝室同士が遠のき、就寝時の騒音はさほど気にならないと思います。しかし、生活パターンが違う人だと、就寝中にリビングでの生活音が気になったりするかもしれません。要は、隣の部屋と『どう接しているのか』をチェックすることですね。

上下階に関しては、水回りの関係もありますので、間取りは同じケースがほとんどだと思います。床の素材や建物の構造に注意しておくといいでしょう。上下の音は振動で伝わります。従って、硬い素材のほうが響きます。防音対策の度合いにもよりますが、フローリングよりも畳、鉄骨よりも木造のほうが振動を吸収してくれるので音が響きづらいこともあるのです。どうしても上の音が気になる方には、最上階をおすすめします。建物全体の間取りの配置は、不動産会社にいえば見せてもらえるはずです」(永田氏)

さらに、それでも騒音トラブルに巻き込まれてしまった場合を見据え、こんなアドバイスも。

「物件の管理を誰が行っているかというのも、意外と重要なポイントです。管理会社や大家さんにきちんと管理されている物件の場合は、トラブルに巻き込まれても、ある程度の対処をしてくれるはずです。実際に弊社が管理している物件でも音にまつわるご相談は数多く寄せられ、両者の間に入って解決にあたることも少なくありません」(永田氏)

たかが音、されど音。集合住宅での隣人トラブルは裁判にまで発展し、時に凄惨(せいさん)な事件に発展することすらある。それだけに無用なトラブルの芽は、できる限り未然に摘んでおきたいところだ。

もちろん、いくら遮音性が高くても、それを上回るほどの騒音をまき散らす非常識な隣人に当たってしまう可能性だってある。「住んでみないと分からない」ことも多いが、少なくとも選ぶ段階で、正しい知識・情報に基づいた目利きを行うことは重要といえそうだ。

●取材協力
・株式会社 佐川旭建築研究所
・積水ハウス株式会社
・株式会社ミニミニ元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2017/08/139922_main.jpg

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運動会で人気のおかず、1位は定番のアレ、SUUMO調べ

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「SUUMOなんでもランキング」

(株)リクルート住まいカンパニーが運営する不動産・住宅サイト「SUUMO(スーモ)」は、住まいや暮らしに関する様々なテーマについてアンケート調査を実施し、調査結果を「SUUMOなんでもランキング」として紹介している。秋は運動会シーズン。リレーに騎馬戦、大玉転がしなど、楽しみな競技はたくさんあるけれど、いつもと違う、ちょっと豪華な運動会のお弁当が一番の楽しみ、という方もいるのでは? そこで今回は、運動会のお弁当に入っていたらうれしいおかずについてのアンケート。

【調査概要】
●調査時期:2017年4月5日~2017年4月7日
●調査対象者:全国の20~59歳までの男性208名・女性208名
●調査方法:インターネット
●有効回答数:416

【調査結果】
Q.運動会のお弁当のおかず、これが入っていたらうれしい! 家族も喜ぶ鉄板ネタは?(複数回答可)
1位:からあげ 45.0%
2位:卵焼き 26.9%
3位:エピフライ 13%
4位:ハンバーグ 9.9%
5位:たこさんウインナー 8.9%
6位:ミートボール 7.2%
7位:焼鮭 4.8%
8位:うさぎりんご 4.6%
9位:とんかつ 4.3%
10位:梅干し 4.3%
※上位10位まで掲載

約半数が支持した堂々の1位は「からあげ」(45.0%)。「絶対飽きない至高の食べ物(34歳・男性)」「嫌いな人なんていない。むしろ入ってないほうがおかしい。実際テンションも上がるし……(50歳・男性)」「定番中の定番!!!(22歳・女性)」「おいしいし、肉でスタミナ補給(42歳・女性)」「家族みんな好きだから(35歳・女性)」など、老若男女、幅広い年齢層に支持されている。

2位は「卵焼き」(26.9%)。こちらも鉄板。「黄色の彩り。おいしい定番(52歳・男性)」「彩りがきれい(34歳・女性)」「おべんとうには必ず欲しい。塩辛いだし巻がいい。彩りもよい(26歳・女性)」など、彩りがいいというコメントが多く挙げられた。味付けとしては、砂糖を入れた甘い卵焼き派と、出汁を利かせた塩系の卵焼き派に分かれるようだ。

3位は「エビフライ」(13.0%)。「ぜいたくな感じがするから(35歳・女性)」「見つけたときの感動ったらない(34歳・女性)」など、そんなに登場しないけれど、あるとテンションがアップするおかずのよう。

5位には「たこさんウインナー」(8.9%)、8位には「うさぎりんご」(4.6%)がランクイン。かわいい動物の形をしたおかずが入っていたら、子どもも喜びそう。「おいしいしかわいい(22歳・男性)」「かわいいし、何となく楽しくなる(59歳・女性)」など、かわいい&おいしいというコメントが多くあった。

運動会のお弁当は、いつもと違って外で家族が一緒に食べる特別なもの。子どもだけでなく、大人もうれしいがっつり系おかずや、母的に気になる彩りを添えるおかずなど、定番人気のおかずがズラリと並んだ。また、「冷めても美味しい」など、お弁当ならではの理由で重宝されるメニューでもある。年に一度のイベント、大好きなメニューで頑張る子どもを応援してあげたい。

【主なコメント】
●からあげ:定番中の定番!!!(22歳・女性)
●からあげ:これがないお弁当なんてありえません。(34歳・女性)
●卵焼き:お母さんの味がするから。(45歳・女性)
●エピフライ:朝から頑張ってつくってくれたと思う。(50歳・女性)
●ハンバーグ:子どもが特別な日に必ずつくってほしいというので。(43歳・女性)
●たこさんウインナー:タコさんウインナー以外にもウインナーで動物をつくる。はずせない定番。(52歳・男性)
●ミートボール:うずら卵入りのミートボール。家族みんなが大好き。(53歳・女性)
●焼鮭:御飯が進む。(34歳・男性)
●うさぎりんご:子どもが笑顔になる。(38歳・女性)
●とんかつ:好きだから。げんかつぎにもなる。(35歳・男性)
●梅干し:お弁当の保存にも効果があるし、味も食が進む。(38歳・女性)

「SUUMOなんでもランキング」コーナー:住まいに関する様々なテーマについてアンケートを実施し、結果をまとめた記事を隔週で発表。

元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2017/09/165.jpg

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夫婦の暮らし方調査[6] 夫や妻のお金の使いかた、どんなときにイラッとする?

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夫婦の暮らし方調査[6] 夫や妻のお金の使いかた、どんなときにイラッとする?

他の夫婦はどうしているの?と気になりつつ、なかなか人には聞けないのが家庭内のお金の問題。どんな点で、妻や夫にイライラするのか、高価なものを買うときはパートナーに相談する? それとも内緒で? など、聞きにくい内容をズバリ聞いてみました。
夫は妻が「お金を使いすぎる」、妻は夫が「趣味や飲み代にお金をかけすぎる」ことなどにイライラ

まず、お金の使い方に関して、配偶者にイライラすることはあるかという問いに対し、「ほとんどない」(36.0%)がトップ、次に「たまにある」(20.3%)、「ときどきある」(15.7%)。「ある」人と「ない」人がどちらも約半数という結果でした。

【画像1】「ほとんどない」「全くない」を合わせると、約半数が「ない」という結果に(出典/SUUMOジャーナル編集部)

【画像1】「ほとんどない」「全くない」を合わせると、約半数が「ない」という結果に(出典/SUUMOジャーナル編集部)

イライラすることがある人はどんなことにイライラしているのか、コメントは以下のとおり。
【夫】
・必要以上の買い物をする(37歳)
・子どもの物を、何でも良い物を買い与え過ぎる(40歳)
・節約の意識が足りない(42歳)
・無駄遣いが多い(47歳)
・着ない服や靴がたくさんあると思う(56歳)

【妻】
・飲み会が多く、貯金があまりできない(27歳)
・お金のことになると細かい(30歳)
・スーパーなら安いのに、コンビニでジュースやお菓子やカップ麺を買ってくる(30歳)
・フィギュアなどを大量に買っている(42歳)
・ゴルフにお金を使いすぎる(45歳)

夫側の意見として特に多かったのは、妻が「お金を使いすぎる」「無駄な買い物が多い」という内容のもの。女性としては必要なものを購入しているつもりでも、夫側から見ると無駄に見えることが多いようで、「必要以上に買い物をしている」と捉えているようです。

一方、妻側は、配偶者が「趣味にお金を使いすぎる」「飲み会が多すぎる」「同じものでも高いお店で買う」などの内容のコメントが多数。例えば、夫の趣味であるフィギュアやゴルフ、パチンコなどは女性にとっては無駄なもののようで、そこにお金をかけることにイライラしている人が多いのが特徴的でした。
どれも「自分にとって必要なもの」を購入したり、「自分にとって必要な時間」を過ごしているのですが、それがパートナーにとっても必要なわけではないようで……お互いに理解し合うのはなかなか難しそうです。

家具、家電、車などの高額商品のほか、私物の購入に関しても配偶者に相談している人が多い

また、日用品や食料品以外で何か買いたいものがあった場合、配偶者に相談しているかという問いに関しては、「何を買うかによっては相談する」(53.7%)に次いで、「金額によっては相談する」(42.0%)となりました。

【画像2】金額や内容により相談する人が多数。「相談しない」は17.3%だった(出典/SUUMOジャーナル編集部)

【画像2】金額や内容により相談する人が多数。「相談しない」は17.3%だった(出典/SUUMOジャーナル編集部)

「何を買うかによっては相談する」で多かった意見は、「家族で使うものは相談する」というもの。コメントを見ると「電化製品などの大きなもの、家族が共通して使うものなどは相談して、自分のものを買うときは勝手に買う(60歳・女性)」「家電とか家具とか、リフォームとか、大きなお金が動くときは相談する(46歳・女性)」「家族で使うものは、一緒のお財布から出すので相談します(57歳・男性)」など。
家電や家具、住まい、車など、家族で共有するものに関しては家計から捻出することも多く、購入する際には、家族に相談するという人が多いようですね。

「金額によっては相談する」では、「家電など金額の大きな物は相談する(32歳・女性)」「車、家電、家具など高額のものは相談する(68歳・女性)」「10万円以上の高額商品の際は相談する(42歳・男性)」「高いバッグ、財布、家電を買うときは伺いを立てる(42歳・男性)」といったコメントが。こちらも家具、家電、車などの高価なものを購入する場合に相談するという意見が多数でした。また、趣味で購入するものや、財布やバッグなどの私物に関しても、金額が大きい場合には相談するという意見もあり、「ルールだから」「約束で決めたから」と、夫婦間できちんと話し合いをしている様子が伺える結果となりました。

「相談しない」という人も17.3%いましたが、こちらは「お互いがお互いの稼ぎの範囲内で購入している(32歳・女性)」「共働きなので、基本的には自由(男性・62歳)」「自分が家計を握っているので相談することはなく、何か購入したときは事後報告で済む(女性・50歳)」「ぜいたくな物は買っていない(女性・42歳)」などのコメントがありました。

今回の調査で、お互いのお金の使い方にイライラすることはあるものの、高額な商品などを購入する際には、きちんとパートナーに相談する夫婦が多いことが分かりました。

お金の使い方に関しては、夫からすれば、妻が同じような洋服やバッグをいくつも買う理由が分からないし、妻からすれば、夫が趣味やゴルフ、飲み会になぜそんなにお金をつぎ込むのか意味が分からない、ということもあるようです。男女間のお金の使い方に関する価値観の違いは永遠のテーマなのかも。これに関しては、自分のパートナーはこれにお金を使うのが好きなんだということを認め、ある程度受け入れてあげることが、夫婦生活を円満に続けるコツではないでしょうか。もちろん、金額や頻度など、夫婦間で話し合ってルールを決めることも忘れずに! そして、この歳までにマイホームを購入しよう、○万円貯蓄しようなど、お金にかかわる夫婦の将来の目標を決めておくと、ルールを守りやすいかもしれませんね。

●調査概要
・[夫婦の暮らし方に関するアンケート]より
・調査期間 2017年7月10日~7月11日
・調査方法:インターネット調査(ネオマーケティング)
・対象:全国にお住いの20~69歳の既婚者
・有効回答数:男女300名(男性150名、女性150名)元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2017/09/140645_main.jpg

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最大50万円補助!東京都の新たな窓改修の補助金が魅力的

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最大50万円補助!東京都の新たな窓改修の補助金が魅力的

東京都では、家庭における省エネルギー対策を推進するために、平成29年度(2017年度)の新規事業として、既存の住宅に高断熱窓(エコサッシやエコガラス)を設置した都民や管理組合に、補助金を出す助成事業を開始した。最大で50万円の補助金が受けられる。【今週の住活トピック】
平成29年度新規事業「高断熱窓の設置に対する助成事業」を開始/東京都最大50万円の助成が受けられる、都の助成事業の条件は?

地球温暖化対策として、国際的に省エネの推進が課題となっている。
家庭で消費するエネルギー量は、産業部門や運輸部門などに比べると少ないものの、消費量の伸び率が高いのが特徴だ。

そこで、人口の流入が続く東京都では、家庭部門の省エネ対策として、既存の個人住宅の窓を高断熱窓に改修する場合に補助金を出す助成事業(平成29年度~31年度)を開始した。

注目したいのは、その助成額だ。
助成対象となるのは高断熱窓の購入費用と設置工事費で、助成対象費用の1/6まで、上限50万円(1住戸当たり)が助成額となる。

助成を受けられるのは、都内に住宅を所有している個人だけでなく、マンションの管理組合なども対象となる。
マンションでは、サッシなど窓まわりは共用部分としているのが一般的だ。そのため、住戸ごとに無断で窓を改修することはできず、省エネ性を高めるために管理組合が主体となって、マンション全体で一斉に窓の改修を行うことが想定される。この場合に、管理組合に対して50万円×住戸数を上限に改修工事費用の助成が行われる。

一方で、マンションごとに管理規約を改正し、性能向上目的の窓改修を住戸ごとに認める事例も増えている。窓の改修が認められているマンションなら、管理組合の許可を得れば住戸ごとに窓を改修できる。そうすれば、一戸建ての場合と同様に、住戸ごとに助成を受けることができる。

もう少し詳しく助成を受けられる条件を見ていこう。
・対象となる高断熱窓は、(一社)環境共創イニシアチブ(SII)に登録されている未使用のもの
※一覧をSIIのサイトで見ることができる
・改修する箇所は、最低でも1居室のすべての窓
・平成29年4月1日以降に、都内の既存住宅に新たに高断熱窓を設置すること

【画像1】既存住宅における高断熱窓導入促進事業助成金「提出書類チェックリスト」(出典/東京都地球温暖化防止活動推進センターのサイトから資料をダウンロードしたもの)

【画像1】既存住宅における高断熱窓導入促進事業助成金「提出書類チェックリスト」(出典/東京都地球温暖化防止活動推進センターのサイトから資料をダウンロードしたもの)

東京都の補助金のほかに、国や市区町村の補助金・減税制度も活用できる

実は、数年前に我が家の窓をエコガラスに改修した。マンションの管理規約が改正され、性能向上の場合に改修が認められるようになり、それを受けてすぐにシングルガラスだった窓をすべてエコガラスに変えた。

特に我が家は角住戸なので、やたらと窓が多い。解放感はあるものの、夏は暑く冬は寒く、冬の朝の結露には悩まされていた。内窓(既存の窓の内側にもう一つ窓を設ける場合)は専有部分の改修となるので管理組合の許可が不要だが、窓が二重になるのは嫌だったので、管理規約の改正を待っていたのだ。

こういったお得な助成制度はなかったが、住宅エコポイントがある時期だったので、エコポイントと省エネ減税を利用しようと考えたのだ。窓の省エネ改修では所得税と固定資産税の減税制度があるが、特に所得税は全居室のすべての窓を改修することが条件だったこともあり、すべての窓の改修を行った。

サッシごと変える場合はガラスの選択肢も広いが、サッシは変えずにガラスだけを変えたので、厚みなどの制約もあって、真空ガラス(ガラスとガラスの間にわずかな真空層がある窓ガラス)を採用した。複数社に見積もりを取るなどして価格交渉をしたが、それでもすべての窓のガラスを交換したので、100万円近い費用がかかった。

仮に100万円かかる窓の改修を今から行った場合、東京都の補助金が受けられるなら、消費税や対象外の費用などを差し引いた対象工事額が90万円だったとすると、その1/6、つまり15万円が助成されることになる。
このほかに、国の補助金(SIIの断熱リノベなど)や市区町村の補助金などが利用できるなら、助成される額はさらに大きくなる。

私の場合は、7万5000ポイントのエコポイントだったので、窓の改修を行うのが今だったらよかったのにと残念な気持ちになった。

加えて、ローンではなくキャッシュで支払った場合は、10%(上限25万円)が所得税から控除される。私の場合は実際の工事費用より標準的な工事として試算した工事費用の方がかなり低くなったので、その10%の5万円ほどが確定申告で戻ってきた。また、固定資産税額も1/3が減額されるなど、あの手この手で工事費用を取り戻すことができる。

東京都に家を持っていない人でも、自分が利用できるお得な制度がないか、情報を集めるといいだろう。

もちろん、注意点もある。それぞれの制度で適用される条件が異なるので、事前に細かい点まで調べることが重要だ。安易に利用できると思ったり、金額を高めに想定したりして、計算違いだったということのないようにしたい。

さらに、減税は事後申告が可能だが、助成制度は事前に助成金交付の申請をして、都の交付決定を受けてからでないと、工事を行えないといった手続き上の違いもある。提出する書類も制度ごとにいろいろと用意しなければならないので、事前に工事の依頼先としっかり相談しておくのがよいだろう。

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住民経営マンション「管理はつなぐ」[2] 「番町パークハウス」

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管理はつなぐ第二回「番町パークハウス」

多くのハイグレードマンションが集積し、住宅市場では常に熱い視線を注がれている千代田区の番町エリア一帯。今回紹介する番町パークハウスは、そんな四番町に立地するマンションだ。
造園会社を変更。将来を見据えて庭を守る

番町パークハウスの大きな特徴のひとつが、3700m2超の敷地のうち約36%を緑化しているという贅沢なランドプランだ。管理組合理事の加藤繁氏は次のように言う。

「従前は地権者の方の私邸でしたが、代々、庭を大切に守ってきたそうです。そのため、デベロッパーにマンション開発を任せる際は、できる限り庭を残すよう要請したのです。この方はマンションの完成を待たずに急逝なさったのですが、遺族のみなさんのご厚意で、地権者の方が住むはずだった1階の住戸は、庭を愛でられる共用施設のダイニングサロンとして入居者に開放されることになりました」

こんな経緯があるため、入居者の誰もが庭を大切な財産としてとらえているのだという。ダイニングサロンは入居者が貸し切ることもできて、1時間当たり1500円と、手ごろな価格設定になっている。
管理面では、季節ごとに剪定を続け、以前と変わらぬ姿を維持してきた。

「しかし、『今後は樹木の入れ替えや将来を見据えた計画立案などが必要になってくる』と造園会社の担当が申し出てくれたのです。そこで新年度からは、より規模が大きく、対応力のある造園会社にお願いすることになりました」

【画像1】建物南側に広がる庭。芝生が枯れてしまったこともあるそうだが、売主と施工会社に協力を要請し、土壌の入れ替えを実施。見事に復活した

【画像1】建物南側に広がる庭。芝生が枯れてしまったこともあるそうだが、売主と施工会社に協力を要請し、土壌の入れ替えを実施。見事に復活した

10年間で大半の世帯が理事を経験。懇親会などのイベントも開催

この物件のもうひとつの特徴は、10年間でほぼ全世帯が管理組合理事を経験していることだろう。竣工から年月が経過すると、理事会では、マンションの修繕や規約の見直しなど、さまざまな課題に直面するものだ。入居者の多くが理事を経験していれば、管理組合に対する理解度も深まる。課題解決を目指す上では心強いはずだ。

「入居者同士が交流を育めるような場の提供も大切だと考え、3年前からは防災訓練と懇親会をセットにして実施しています」

加藤氏は、今後も交流の場を増やしていきたいという。
「お互い顔見知りになっていただくだけでも、マンション内の雰囲気は和むものです。このような取り組みを重ねることで、入居者全員の相互理解で合意形成できるような管理組合にしたいと思っています」

【画像2】(左)ダイニングサロンにはキッチンが完備されていて、本格的な調理も可能(右)コミュニティ形成の一環として始めたクリスマスツリーの飾りつけと、子どもたちへのお菓子の配布が好評

【画像2】(左)ダイニングサロンにはキッチンが完備されていて、本格的な調理も可能(右)コミュニティ形成の一環として始めたクリスマスツリーの飾りつけと、子どもたちへのお菓子の配布が好評

●建築・住宅計画等を専門とする東京大学教授 大月敏雄氏が語る建築家の視点

開発段階から従前の庭を残し、現在まで大切に引き継がれてきているのが素晴らしい。加えて、庭にあった石碑を一般公開しているそうだが、一帯が積み重ねてきた歴史を重んじる姿勢があると、周辺住民にリスペクトされ、地域でも愛されるマンションになるはずだ。なお、庭園や植栽は、15年ほどの周期で樹木の植え替えや土壌の入れ替えなど、大がかりな手入れが必要になるものだ。前もって正直に進言したという。造園会社の担当にも、おそらくコストが上がるにもかかわらず将来を見据えて意見を聞き入れた管理組合にも賛辞を贈りたい。入居者同士の交流をうながしたいという話だが、簡単・小規模で構わないので、まめに開催することをお勧めしたい。

【画像3】東日本大震災を機に、共用部の照明をLEDに交換。年間200万円の電気代削減を実現させた

【画像3】東日本大震災を機に、共用部の照明をLEDに交換。年間200万円の電気代削減を実現させた

【画像4】管理組合の組織体制

【画像4】管理組合の組織体制

管理組合の理事会は上のような組織体系で、計8 名。任期は1 年間で、立候補制で選出している(立候補がない場合は輪番制)。竣工から10年経過し、おおむね全世帯が理事を経験したことになるという。

※この記事は『都心に住む』2017年6月号(4月26日発売)からの提供記事です
※管理組合のルールや方針は変更される場合があります

物件DATA
住所:千代田区四番町/2007年完成/地上17階建て/総戸数128戸/売主:三菱地所/設計:三菱地所設計/施工:大林組/取材協力:番町パークハウス管理組合、三菱地所コミュニティ元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2017/08/140488_main.jpg

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東京から特急で約70分の「身近な田舎」。千葉県いすみ市が、移住したい若者に人気なワケ

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東京から特急で約70分の「身近な田舎」。千葉県いすみ市が、移住したい若者に人気なワケ

千葉県南東部に位置する「いすみ市」。山と海に囲まれたこの町は、移住専門誌の「住みたい田舎ランキング」で首都圏エリア総合1位を獲得するなど、“移住先進地域”として注目を集めている。
農業と漁業が盛んで、市の中心部にある大原駅から東京駅までは特急で約70分。そうした“田舎暮らし”に適した条件を活かし、自治体ぐるみで移住者を増やす取り組みが行われてきた。その結果、若者世代が憧れる移住先として、熱い視線が注がれているというのだ。

具体的にどんな取り組みが行われたのか? 実際に移住してきた若者は、いすみ市の何に引かれたのか? 現地を取材した。
10年前から「移住促進プロジェクト」がスタート

まずは移住者の支援や市の取り組みを行う、いすみ市水産商工課移住・創業支援室を訪ねた。室長の尾形さんによれば、移住者を呼び込むための施策は約10年前からスタートしたという。

【画像1】いすみ市水産商工課移住・創業支援室の尾形和宏室長(写真撮影/小野洋平)

【画像1】いすみ市水産商工課移住・創業支援室の尾形和宏室長(写真撮影/小野洋平)

「2006年に行われた『まちづくりのための勉強会』が始まりになります。前年に3つの町が合併していすみ市が誕生し、海や山をはじめ河川、田園など多くの“資源”が集まりました。そこで商工会青年部を中心とする地域の若者が、魅力的なまちづくりに取り組もうと動き出したんです。その後、『いすみ市まちづくり推進協議会』や『総務部地域プロモーション室』など、いすみ市を“知ってもらう”活動がスタートしていきました」(尾形さん、以下同)

もともと、海沿いのエリアはサーファーに人気のポイントで、それまでにも一定数の移住者はいたそう。しかし、それでも少子高齢化・人口減少の影は忍び寄っており、本格的な移住者呼び込みに向けて立ち上がったという。

そこからの動きは速かった。特に子育て世帯に訴求するべく、魅力的な生活環境の整備に着手。なかでも力を入れたのが「子育て支援」だ。

「現在では高校生まで医療費無料なんて当たり前になりつつありますが、早くから取り組んだことで、現在の『子育てしやすいまち』というイメージにつながっているのだと思います。とはいえ、財政的に豊かな自治体ではないので、予算が潤沢な都市部との『価格競争』に参加してしまうとキリがありません。さまざまな支援は、あくまで移住を考えている方の背中を押すきっかけだと思ってほしいですね。重要なことは田舎で暮らすこと自体を夢見るのではなく、その田舎で何をして生きたいかという具体的な目標をもつことです。そのやりがいさえもっていれば、私たちもサポートしやすいですし、地域の輪も自然と広がっていきますよ」

その「目標」は人それぞれだが、なかでも「仕事のやりがい」は大きなカギとなる。いすみ市はビジネス支援にも積極的だ。

「今、水産商工課移住・創業支援室では創業支援に着手しています。地域に雇用を生むには、大きな企業を誘致するだけでなく、例えばレストランが1つできるだけでもいいわけです。そうすれば、パートなど従業員の雇用が生まれ、農家にとっては出荷先が増え、それが積み重なって連鎖していくことでまち全体が活性化されます。そこで、市内での創業・起業を促進させる『創業セミナー』や、事業計画や基本的な書類づくりなどをサポートする『いすみ創業塾』を開催しています。市内の空き店舗や空き家を使った施策であれば補助金も交付しています」

【画像2】創業セミナーの様子(写真提供/いすみ市水産商工課)

【画像2】創業セミナーの様子(写真提供/いすみ市水産商工課)

そうした、いわば種まきを経て「魅力的な移住先」としての認知は着実に広がってきた。現在は、その次の段階のまちづくりも見据えている。

「最初は、いすみ市を知ってもらうために首都圏・関西で移住セミナーを開催したり、里山での農業体験や移住者がどのように暮らしているかを見聞きしてもらう体験交流ツアーを実施してきました。その結果、多くの人に認知されるようになりましたが、一過性の盛り上がりに終わっては駄目だと考えています。そこで、現在は改めて足元を見つめ、“地域づくり”に目線を置いてみようと考えているんです。移住相談や移住セミナー、体験交流ツアーなど『移住希望者側』の目線ばかりではなくて、実際に暮らしている地域の人の目線を大事にしようということ。
例えば、人手不足に悩む農家さんの手助けになるような種まきや収穫のお手伝いをワークショップとして開催するなど、地域の人がおもてなしをするのではなく、外からの担い手が地域の課題を解決することにつながるような仕組みをつくっていけるようにしたいんです」

こうした、地元民ファーストともいえる姿勢は、移住者にとっても魅力的に映る。尾形さんいわく「1人1人が埋もれないまちづくり」が実を結びつつあるのかもしれない。

移住後、収入が3倍に! 忙しくも充実した日々

さて、実際に移住した方にも話を聞いてみたい。1人目は今年の3月末に初めていすみ市を訪れ、4月には移住を決めたという佐々木ゴウさん。今年の5月にオープンしたばかりのコワーキングスペース「hinode」の店長を務めるかたわらWebライターや田舎フリーランス養成講座の講師、シェアハウスのオーナーなど、多岐にわたる活動をしている。

【画像3】シェアハウスのフリースペースにはオシャレな盆栽が。佐々木さんの趣味だという(写真撮影/小野洋平)

【画像3】シェアハウスのフリースペースにはオシャレな盆栽が。佐々木さんの趣味だという(写真撮影/小野洋平)

―― 移住を決めた理由を教えてください

「直感ですね。そもそもは自転車で日本一周しようと思っていて、ここへは少しの間立ち寄るだけのつもりでした。でも、一度来たらもうこの町が気に入りすぎてしまって、すぐにいすみ市に引越してしまいましたね。昔から移住者が多いと聞いていたので、初めての人でも受け入れてくれそうとも思っていましたし、不安は一切なかったですよ」

―― そこまでほれ込んだのですね。実際に住んでみて、いかがでしたか?

「一番の魅力は自治体や地域おこし協力隊の方々が、僕らのような移住者に対して異常なくらい寛容で協力的なところですね。何をするにも力を貸してくれますし、人と出会う機会を提供してくれるんです。しかも出会う人、出会う人がみんな面白い。いすみ市の資源を使ってさまざまな発信をしているプレーヤーばかりで驚かされています。おかげでまだ3カ月しかたってない僕でも多くの方と知り合うことができました」

―― 移住に当たって、仕事の不安はありませんでしたか?

「元々クラウドソーシングで稼いでいましたし、hinodeの店長をやることも決まっていたので心配はありませんでした。その気になれば東京にも通える距離ですし、移住初心者にはもってこいですよ。あと、前職も今も忙しさは変わりませんが、やりがいが全然違うんですよね。もちろん、やりたいことを仕事にしているぶん労働時間は増えましたが、じつは収入も3倍ほどになっています」

―― このコワーキングスペースでは、主にどういった活動をしているんですか?

「田舎で暮らすためのフリーランス養成講座や、ワラーチサンダルづくりのワークショップなどを行っています。こういった取り組みを通じて、もっといろんな方にいすみ市の魅力を知ってもらいたいんです。移住してきた方と地域の方が気軽に交流できるようなスペースにもなればいいなと思っています」

【画像4】元市民プールだったコワーキングスペースhinode(写真提供/hinode)

【画像4】元市民プールだったコワーキングスペースhinode(写真提供/hinode)

「小さな商売」でも、ここなら十分にやっていける

2人目は、フリーライターになるタイミングでいすみ市に移住したという磯木淳寛さん。ここに暮らして、もう4年になる。

【画像5】涼しい風が通る磯木さん宅でお話しを伺った(写真撮影/小野洋平)

【画像5】涼しい風が通る磯木さん宅でお話しを伺った(写真撮影/小野洋平)

―― 移住のきっかけは?

「前職がオーガニック食品の会社でライターをしていたので、よく全国の農家さんに取材していたんですよ。あるとき、取材先の農家さんのところにたまたま別の農家さんが来ていて、その方の質問には“深さ”があったんですよね。プロとして質問をしている僕よりも全然深くて。そのころは杉並区に住んでいたんですけど、都内に住みながら一次産業の話を聞くっていうのは難しいと思い始めたんです。仕事の面でワンランク上に行きたい向上心と田舎暮らしへの憧れが相まって、地方に移住しようと決めました」

【画像6】今年の収穫を終えた、磯木さんのいちご畑(写真撮影/小野洋平)

【画像6】今年の収穫を終えた、磯木さんのいちご畑(写真撮影/小野洋平)

―― いすみ市を選んだ決め手はなんだったんですか?

「僕は北海道出身のわりに寒がりなので、まずは暖かいところがいいなと。このへんの地域って全国的に見て比較的冬は暖かく、夏でも風が涼しいんですよ。夜も熱帯夜が少ないので寝心地は抜群です。それから、東京の友達のところへ気軽に遊びに行ける距離感も大事なポイントでした。ほかにも仕事のしやすさやお金のことも考えた上で、これらの条件に当てはまったのがいすみ市だったんです。住んでから気づいたのですが、房総は晴れの日が多いのも気持ちいいですね」

―― 夏は涼しくて冬は暖かいなんて、最高の気候ですね。ところで、移住と同時にフリーランスになるのは勇気のいる決断だったのでは?

「それはもう、勢いで。でも、今にして思えばフリーランスになるタイミングとしては悪くなかったのかなと。もちろん会社員の方が収入は安定していたかもしれませんが、何より自分自身で選択をするというのが楽しいですね」

―― ご結婚もされているということですが、移住について奥さんから反対はされませんでしたか?

「それが全くなくて、むしろ賛成してくれました。元々、妻は都内の洋菓子店で働いていて、こっちに来てフリーパティシエになりました。あえて店舗は持たず、出店するマーケットなどでの出会いやいすみで採れた旬の果物のケーキを自ら売ることを楽しんでいます。きっと、東京にいるときではできなかった働き方ですが、数年である程度軌道に乗ってくれてホっとしました」

―― 移住者の方は、フリーランスや自営業の方が多いんですか?

「そうですね。妻もそうなりましたが、なによりマーケットなどで自分のつくったものを直接販売することを仕事にして暮らしている人が多くて驚きました。初めは正直、そのやり方で田舎でちゃんと稼げるのか? 本当に生活できるのか? と感じたのですが、いろいろな人に話を聞いていったら、次第に地元を相手にした小さな商売だからこそやっていけるんだってことが分かっていきましたね。あらゆる隙間が多いことがアイデアの元になるし、小さな商いは人間関係を育んで、続けるほどに商売も地域も良くなっていく。
じつは、田舎ならではの“小商い”についての本も書いたんですよ。ここには以前からそうやって暮らしてきた先輩方が多くいらっしゃいますし、彼らの『好きな仕事にまっすぐ向き合う姿勢』は本当に勉強になります。仕事のやり方や身の処し方など、多くのことを学んでいますね」

今回お話を伺ったお二人は、まさに移住の成功例。仕事も私生活も充実し、現在の暮らしを心から楽しんでいる様子だった。

「田舎暮らし」はそう簡単なものではなく、想像と現実のギャップに悩み、“失敗する”ケースも少なくない。いくら環境がよくても、やはり糧となる何かしらの目標がなければ、長く続くものではないのだろう。

いすみ市の場合は自治体が積極的に関与し、移住者がその「何かしら」を見出すための機会づくりをしっかりと行っている印象だった。住む家を格安で提供するだけの移住支援にとどまらない、移住者目線のこうした取り組みが若者をひき付ける理由なのかもしれない。

●取材協力
・いすみ市
・hinode
・磯木淳寛さん
 著書:「小商い」で自由にくらす~房総いすみのDIYな働き方元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2017/09/140836_main.jpg

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出産、離婚…ライフスタイルの変化も怖くない!共働き夫婦に聞く、堅実タワマン購入術

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共働き夫婦のタワマン購入事情

都心の人気エリアに建つ、数多くのタワーマンション。都市ならではの利便性と、その高級なイメージに憧れを持つ人も多いはず。「一度はタワーマンションライフを味わってみたい」と考えている人もいるのではないでしょうか。

しかし、高額物件も多いタワマンの購入に二の足を踏んでしまう人もいるかもしれません。実際にタワマンの購入や売却を経験した、共働き夫婦2組のケースを取材しました。奇しくも、このご夫婦のうち1組は数年前に購入したタワマンを離婚によって売却。もう1組はお子さんが産まれたことをきっかけに、最近タワマンを購入しています。住んだからこそ分かる実情を語ってもらうと共に、人生のどんなフェーズでも、後悔しない「賢いタワマンの購入術」を探りました。

都市の発展を目の当たりにしながら暮らすおもしろさ写真/PIXTA

写真/PIXTA

「私の場合、タワーマンションに住む動機がまずあって、それにプラスして資産価値を判断しました」。そう語るのは、森由香里さん(仮名)。都内の大手人材情報企業に在籍しています。

今から15年ほど前、結婚した当時に住んでいたのは浦和市(埼玉県)のマンション。勤務先は新橋近辺でしたから、通勤には1時間弱かかりました。

「ちょうどその頃、汐留にタワーマンションが続々新築され、話題になっていました。汐留なら勤務先まで歩いていけるほど近いし、築地や銀座までもすぐ。若いうちに、いっときでも都市のど真ん中に住んだら刺激的では、と考えたんです」(森さん)

生命保険会社で証券アナリストをしていた当時の夫も、資産としての価値を評価しました。「この立地、仕様なら、絶対に価格は下がらない、売るときも有利」。

夫婦の世帯年収は1000万円台後半。当時注目されていた汐留のタワーマンションを8000万円ほどで購入。面積は約82平米で、以前住んでいたマンションよりも、10平米ほど広くなりました。住んで得た大きなメリットは通勤が楽になったこと。「仕事はかなりハードでしたから、通勤の負担が減ったのは非常に助かりました。警備などのセキュリティがしっかりしていて、帰宅が遅くなっても安心なことも良い点ですね」。

生活面では、予想した通り、再開発で発展していく町を目の当たりにするおもしろさがありました。駐車場代がかなり高い(4万5000円/月)こともあり、車を売り、代わりに夫婦で自転車を購入、休日は自転車で東京を巡りました。「六本木、広尾あたりまで行っておいしいお店で食事したり……。もちろん銀座でショッピング、築地でお寿司を食べるといったことも気軽にできました」。

夫婦でフルに働き、二人で生活を楽しむ。タワーマンションはそのためのベースとしての役割を果たしてくれたようです。

写真/PIXTA

写真/PIXTA

反面、感じたのはいわゆる“生活実感”のなさ。

「角部屋でしたが、窓ははめ殺しで開閉できません。洗濯物は外に干せず、季節を感じることもあまりありません。キッチンは100%電磁調理器でした。ただ、こうした実感の部分は個人の好みにもよると思います」。

憧れの設備であったはずのフィットネスジム、パーティールームなどの共有設備もほとんど利用しないままでした。
「パーティールームは20~30人と大人数を呼ぶならよいけれど、10人程度ならば、部屋に呼べばすむことですから」。
入居者との人間関係もほとんどありません。必要なことはコンシェルジェに伝えればすみ、入居者と顔を合わせる機会も少ないからです。

「職場が近い分、帰宅時間を気にせず仕事をしてしまった。そういうところからすれ違いが生まれてしまったのかもしれません。どこか、地に足がついていなかったかもしれませんね」。森さんのそんな言葉が印象的でした。

子供の誕生に伴い、間取りに不満。タワーマンションへ夫婦二人でリビングでくつろげる。家具は少しずつ選んでいる

夫婦二人でリビングでくつろげる。家具は少しずつ選んでいる(写真撮影/片山貴博)

一方、都心の勝どき(中央区)に中古のタワーマンションを購入したばかりなのが、30代の浅井涼介さん・佳奈子さん(仮名)ご夫妻。涼介さんはコンサルティングファーム、佳奈子さんはメーカーの人事部門に勤務する共働き夫婦です。

お二人が購入を決めた大きなきっかけは、2015年に娘さんが生まれたこと。以前の住居も勝どきのマンションで満足していましたが、娘さんが成長するにつれ、手狭(2LDK、58平米)に感じるようになりました。

最も大きかったのは間取りへの不満です。「以前の住居は、リビングを中心に他の部屋を配置するタイプ。ところがどの部屋もリビングを通過するような動線設計であるだけに、子どもが成長するにつれ、散らかりやすい、夫婦で静かな時間を過ごす空間がなくなる、オンとオフの切り替えがむずかしい、といったことが起こり、ストレスが溜まりました。それで引越そうということに」(佳奈子さん)。
佳奈子さんは広さを重視、都心から離れた一戸建てもありと考えましたが、涼介さんは独身時代に世田谷区に住んだ経験から、通勤の負担を避けたいという思いが強く、結局、住み慣れた勝どきエリアで物件を探しました。

マンション購入に当たっては、他のタワーマンションも含め、複数物件を比較検討。その中で、現在の勝どき駅から徒歩5分ほどのタワーマンションを選びました。

「理由は、各部屋の独立性が高い間取り、リビングが長方形で使いやすいこと、十分な広さがあり、価格的には新築と比較してもリーズナブルであることです」(涼介さん)。

間取りではリビングと分けて、子ども部屋や書斎を確保したいと考えました。面積は88平米で以前の約1.5倍、それでいて価格は坪単価で300万円以下でした。地価が高騰している勝どきエリアでは、坪単価350万円を超えるタワーマンションも珍しくありません。

42Fフロアからの夜景

42Fフロアからの夜景(写真撮影/片山貴博)

住み心地には大変満足しています。 
「浜離宮まで見渡せる眺望は素晴らしく、私は大好きです。何より二人の落ち着いた時間を確保でき、精神衛生上とても良かったと思います。家で過ごすことが心地良くなったせいか、週末に出歩くことが減りました」(佳奈子さん)。

共用施設の利用はまだこれからですが、「運動不足解消のためにフィットネスジムやプールは利用したいですね。宿泊施設やパーティールームもあるので、友人や家族を呼ぶ機会も作れれば、と思います。これは大規模マンションならではのメリットでしょう」(涼介さん)。

森さん同様、タワーマンションでの人間関係はほぼ皆無ですが、むしろ肯定的に感じています。

「実は個人的にタワーマンションに持っていたネガティブ・イメージは、入居者数が多いために朝の出勤時間帯などにエレベーターが混雑するのではないか、多くの人に挨拶しなくてはならなくてわずらしいのではないか、というものでした。ところが、実際はそんなことはまったくなかったですね。本当にそんなにたくさんの人がいるのかな、と思うくらい人に会わないので、ネガティブなイメージは払拭されました」(涼介さん)

宅配便の手配や相談事は、コンシェルジェが担当するので楽。コンシェルジェにはこれからも頼ることが多くなりそうだとのことでした。

次の人生へのステップとしてのタワーマンション

前出の森さんはその後、離婚。タワーマンションを売り、今は再婚して夫婦二人で、戸数10数戸のマンション(64平米)にお住まいです。

写真/PIXTA

写真/PIXTA

「タワーマンションは購入価格の10%増しで売れました。売却の手数料や諸費用を考えても、ほとんど持ち出しなしで2年間タワーマンションに住めたことになります。そう考えるとタワーマンションは、賃貸より購入の方が得かもしれません。私は安心して仕事に打ち込み、生活も楽しみましたから、買って良かったと思います。逆に言えば、タワーマンションは2年住めば私にとっては十分とも感じました」(森さん)。

もともと終の住処と考えてはいないので、利点を活かして数年生活し、売却すれば元は取れるというわけです。

浅井さんご夫妻も、タワーマンションを終の住処とは考えていません。

「現状で、不満な点はまったくありません。通勤、育児などのストレスが減り、自分の時間をきちんと確保できるようになったことはとても良かったですね。いろいろなメリットを考えると、タワーマンションのコストパフォーマンスは優れていると思います。今後5年くらいは住み、その先はこれから考えようと思っています」(涼介さん)。

こうしてみると、30代から40代くらいの購入者、特に共働き夫婦にとって、タワーマンションはより長く快適な時間を得られる空間であり、仕事に打ち込むうえでの基点としても有効といえそうです。両夫婦ともに、タワマンを住み替え前提で「資産」と捉えていたのも印象的でした。エリアや坪単価をよく調べ、資産価値が下落しないタワーマンションを購入するのが損をしないコツと言えそうです。

元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2017/08/140528_main.jpg

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遠方の部屋探しや物件売却が簡単になる!?話題のIT接客を体験してみた

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遠方の部屋探しや物件売却が簡単になる!?話題のIT接客を体験してみた

IT化が進む不動産業界で今度は遠隔接客なるサービスが登場。どんなことができるのか、さっそく体験してみた。
遠く離れた店舗の担当者とテレビ電話で会話ができる

バーチャル・リアリティでモデルルームを仮想見学したり、家がいくらで売れるかを人工知能で自動的に査定したりと、不動産業界でもさまざまな場面でIT化が進んでいる。今回紹介するのは、ITを使って接客をするサービスだ。

大京穴吹不動産が導入した「店舗間IT接客」は、モニターを通じて遠く離れた店舗の担当者と会話をしながら物件案内などをしてもらえるというもの。例えば転勤先などで賃貸住宅を探すときや、親の実家や投資物件など遠隔地にある住宅を売却したいときなど、現地に足を運ばなくても案内や相談をすることができる。

先日、報道関係者向けの体験会があったので行ってみた。会場のスクリーンに映し出されたデモ画面は3つに分割されており、一つにはお客役の女性の顔が映っている。女性がテレビ電話で呼び出すと、会場から離れた店舗にいる担当者がもう一つの画面に現れ、「いらっしゃいませ」とあいさつする。女性は以前大阪に転勤で住んでいたころに購入したマンションの売却について相談するという設定だ。担当者は周辺の物件相場など図表を交えて説明した。

【画像1】店舗間IT接客サービスのデモ画面。左下のお客役の女性の質問に、左上の店舗の担当者が図表を示しながら答える(写真撮影/大森広司)

【画像1】店舗間IT接客サービスのデモ画面。左下のお客役の女性の質問に、左上の店舗の担当者が図表を示しながら答える(写真撮影/大森広司)

次に画面が切り替わり、今度は東京の税理士事務所とつながった。税理士が画面に現れ、大阪にある実家マンションの相続についての相談がやりとりされる。接続まで少し時間がかかるが、その後の会話はスムーズだ。担当者の表情が映り、図表や間取りを見ながら説明を受けられるので、実際に会って話すのとさほど変わらない。

同社では全国の73店舗にこのシステムを導入している。利用を希望する人は電話で予約をすることで、最寄りの店舗に設置されたモニターを通じて希望するエリアの担当者と会話することができる。また店舗スタッフだけでなく、首都圏と大阪の店舗では、税理士への相談も可能。今後は、ファイナンシャルプランナー、介護職員など提携企業の担当者とも相談を可能とする予定だ。このシステムを使って、今年10月から本格運用(予定)の賃貸取引における物件の重要事項説明もできるようにする予定だという。

ショッピングモールで、買い物ついでにVRと遠隔接客で部屋探し

さらに7月には、買い物ついでにVRを用いたIT接客が受けられる無人店舗がイオン品川シーサイド店に登場した。2階フロアの一角に設けられたその『どこでもストア(TM)』は、大人が2人ほど座れるボックス状の形をしており、中にはモニター画面とゴーグルが設置されている。このゴーグルでVR(バーチャル・リアリティ)の画像が見られる仕組みだ。

【画像2】イオン品川シーサイドの2階に登場した『どこでもストア(TM)』。スマホやタブレットでの予約もできる(写真撮影/大森広司)

【画像2】イオン品川シーサイドの2階に登場した『どこでもストア(TM)』。スマホやタブレットでの予約もできる(写真撮影/大森広司)

さっそくゴーグルをのぞいて見ると、モデルハウスの室内が映し出された。VRなので、見たい方向に顔を向けると画像も同じ方向に移動する。図面や写真だけでは分かりにくい天井の高さや空間の広さなども実感できる。足元を見ると間取り図が表示されているので、自分のいる場所や見たい部屋などが視覚的に分かりやすい。

実際の店舗にいる担当者を呼び出すことも可能だ。モデルハウスの画像の中に担当者の顔が現れ、物件を案内してくれる。会話もできるので、「この物件は築何年ですか?」「2階からの眺望を見たいのですが」などと質問するとすぐ答えてくれた。

【画像3】VR画面に担当者の画像が現れ、室内の特徴や物件の概要について答えてくれる(画像提供/ギガプライズ)

【画像3】VR画面に担当者の画像が現れ、室内の特徴や物件の概要について答えてくれる(画像提供/ギガプライズ)

この『どこでもストア(TM)』に物件を掲載しているのは、三菱地所と大京穴吹不動産、フォーメンバーズの3社だ。システムのVR技術はナーブ株式会社が担当した。「『どこでもストア(TM)』はVRを活用した遠隔接客店舗のプラットフォームなので、多くの不動産会社に出店してもらうことができます」と話すのは、フォーメンバーズの親会社であるギガプライズ代表取締役社長の梁瀬泰孝さんだ。同社によると、2017年度内に首都圏の商業施設を中心に25カ所への設置を目標にしているという。

遠く離れた場所にある不動産会社の担当者に相談できたり、買い物のついでに気になる部屋を案内してもらえれば、家の売買や部屋探しがもっと気軽にできるようになりそうだ。ITの活用による不動産業界のさらなる進化に今後も期待していきたい。

●取材協力
・株式会社大京穴吹不動産
・株式会社ギガプライズ元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2017/09/140879_main.jpg

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点検項目200カ所以上! 月々1080円で年1回定期点検ができる「家ドック」に密着してみた!

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年1回、点検項目200ヶ所以上! 月々1080円で定期点検が可能な「家ドック」に密着してみた!

管理会社や管理組合が物件の点検や修繕を行うマンションとは異なり、一戸建ての場合は自主管理が中心だ。だが専門の知識や経験をもたない普通の人が、自分の家を維持・管理するハードルは高い。

一方で、住宅業界では2018年4月から「宅地建物取引業法(宅建業法)の一部を改正する法律」が施行され、既存住宅の流通活性化を目的にインスペクション(建物現地調査)が推進される。こうした動きを背景に、一戸建ての資産価値に注目が集まっている。 

そこで、今回は、戸建管理に特化した「家ドック」というサービスを取材した。「家ドック」はいわば「建物の健康診断」で、一般の人も利用できる。どんなサービスなのか、密着取材をさせてもらった。
「オオゴト」になる前に異変に気づける「家ドック」

今回取材したのは、株式会社 日本戸建管理が展開している「家ドック」。一戸建ての維持管理に関するサポートを月会費1080円(税込)で提供している。年に1回の定期点検をはじめ、設備トラブル時に緊急で駆け付けてくれるサービスなど、自主管理が必要な一戸建て所有者には気になるサポート内容となっている。

サポートサービスを行うのは、加盟しているリフォーム会社や工務店で、家ドックのサービスを提供する日本戸建管理の厳しい審査基準をクリアした加盟工務店ばかり。的確な診断のために点検担当者向けに勉強会を開くなど、サポート体制も整えている。

なお、日本戸建管理に加盟する株式会社 創建では、新しく販売を開始する分譲地で、「家ドック」のサービスを10年間無料で付帯するサポートをはじめた。「メンテナンスや管理をしっかり行っている家と、そうでない家があったとしても、リフォームやメンテナンスが資産として評価されない。これからは定期的にメンテナンスや修繕を行なっている家が正しく評価されるようにしたい」と、創建の担当者は語る。

今回、静岡県で家ドックを展開する静岡戸建管理(富士ツバメ株式会社)の協力のもと、年1回の定期点検を密着取材させてもらった。

「定期的に家の点検を行うことで、オオゴトになる前に異変に気づくことができます。細かな修繕で済むことも多く、トータルでかかるコストも抑えられますよ」と話すのは、点検担当の遠藤さん。

たしかに、大きな事が起こってからでは大変だ。実際、2階のベランダの防水処理が弱まり、1階の天井に染みができる事例もあるそうだ。家ドックで天井の点検をしておけば、実際に水漏れ雨漏りが起こる前に補修できる。 事前に異変を察知できるのは、家ドックのメリットと言えそうだ。

【画像1】一戸建ての点検を担う静岡戸建管理のみなさん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像1】一戸建ての点検を担う静岡戸建管理のみなさん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

いざ点検スタート! 外壁のわずかなコケから修理箇所を察知

今回伺った静岡県静岡市駿河区の岸本さん宅は築15年。家の建具のすべりや蛇口の水漏れなど、そろそろ細かな点が気になってきたそうだ。定期点検の診断内容は、国土交通省策定の住宅診断ガイドラインに準拠した、オリジナルの「点検チェックリスト」を用いて実施。基礎や外壁からキッチン・浴室の水まわりまで家の内外をチェック、なんと200項目をこえるチェックを実施してくれる。

点検は外観と外壁をチェックすることから始まる。まず、玄関ポーチの階段部分に小さなワレを見つけた。「躯体と階段の接着部はしっかりしているので問題はありません。小さなワレは経過措置として資料に残しておきましょう」と家ドックの遠藤さん。

【画像2】玄関ポーチにワレを発見。スマホで撮影した写真は、長期スパンで経過を確認できるよう、専用クラウドに保存される(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像2】玄関ポーチにワレを発見。スマホで撮影した写真は、長期スパンで経過を確認できるよう、専用クラウドに保存される(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

その後も丁寧に外壁をチェックしていく。日当たりのいいところは紫外線による劣化、日当たりの悪いところは湿気が劣化を招くそうだ。基礎部分、屋根、とい、軒裏など、見えないところも特殊なミラーを使って隅々まで目視で確認する。

【画像3】見づらいところも特殊なミラーでチェック(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部))

【画像3】見づらいところも特殊なミラーでチェック(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

外壁に少しだけコケが発生していた。点検する家ドックの山本さんの足が止まる。顔の高さぐらいにある外壁のコケから目線を上にずらし、雨どいを凝視。なんと、雨どいの一部に隙間ができコケの原因となっていたのだ。「ここは後で簡単に直しておきましょう」と、その日のうちに修理まで完了。家主の岸本さんも気づいていなかった不具合を、あっという間に修繕してしまった。

【画像4】水漏れのある雨どい(左)その日のうちにコーティングで修理(左)(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像4】水漏れのある雨どい(左)その日のうちにコーティングで修理(左)(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

続いて家の中へ。水まわりの「変色」に点検者の目が光る! 

外壁の点検が終わると、いよいよ室内の点検だ。玄関→玄関ホール→階段→リビングダイニング→キッチン→トイレ→洗面室→浴室→居室と、ひと部屋ずつ順番に見ていく。

玄関部分ではドアの開閉はスムーズか、上がり框(かまち)は壊れていないかなどを確認する。その後、どの部屋でもまず床を踏んでみて、たわんだりしないかを確認するそうだ。巾木(はばき)、壁紙のはがれや汚れなど、普通の人でも気づきやすい箇所ももちろん点検していくが、遠藤さんいわく大切なのは天井部分だそうだ。

「意外と自分の視線より上を見ていないことがあるんですよ。小さなシミや壁紙のハガレから、雨漏れの予兆が分かることもありますから、目視しておくのは大切ですね」と遠藤さん。

リビングダイニングの点検にさしかかると、出入口のドアの建て付けが悪く、引っかかりが気になった。家主のご家族も、長年、気になっていたそうだ。「ドアの建具のネジがアンバランスなようです。簡単に直りますよ」と遠藤さん。続いてキッチン。水栓からの水漏れが気になっていたそうだが、これも水栓を変えれば簡単に直るとのこと。原因がはっきりすると、それだけで安心できる。

洗面所の点検では、洗面室の洗面台の下のパイプに変色を発見。「これは意外とオオゴトかもしれない」遠藤さんの目が光る。 防臭キャップが外れて水漏れをしている可能性が大きいという。キャップはその場で簡単に入れなおしたが、万が一、床下への水漏れがあれば今のうちにすぐ修繕工事を行う必要が出てくる。やはり水まわりは問題が起こると大変なので、しっかり見ておくことが大事なようだ。

このように、住人が気付いていない些細なことでも、プロがチェックすると発見できることもある。それによって、わが家に「オオゴト」が起こる前に、手を打つことができるかもしれないのだ。

【画像5】見落としがちな洗面台の下は要チェック。物をどかすと、写真中央の金属パイプがさびついて変色していた(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像5】見落としがちな洗面台の下は要チェック。物をどかすと、写真中央の金属パイプがさびついて変色していた(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

ラストは床下&天井! 住人も一緒に床下をのぞいてみよう

いよいよ点検も終盤だ。ロフト部分にも上がって、屋上のバルコニーを点検する。ここではバルコニーの床の防水処理がはがれていないか、傷がないかなども確認する。屋根の目視も含めて、雨漏りの原因になりそうなところは徹底的に調べる。雨漏りの有無は建物の寿命にかかわる大事な問題だからだ

天井や床下の点検口も丹念にチェックする。「こちらは2×4工法(2インチ×4インチの角材と合板を接合する耐性の高い工法)で建てられているので、天井もしっかりふさがれています。また床下もきれいでパイプもきちんとした状態ですね」と北川さん。岸本さんもその話を聞いて安心したようだ。
普段は見ることができないところも、この機会に確認できるのはありがたい。希望があれば住人自身ものぞいて確認できる。

【画像6】床下も開けてしっかりチェック(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像6】床下も開けてしっかりチェック(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

点検終了! でも、これで終わりじゃないんです。簡単な修繕までその日のうちに! 

取材中に驚いたのは、ちょっとした不具合は当日できる範囲で修繕してくれることだ。ドアの開閉は、ネジの調整ですぐにスムーズになった。最初に点検した雨どいの水漏れも、コーティングすることで簡単に直ってしまった。

【画像7】家族が長年気になっていたドアの建て付けも、数分で解消(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像7】家族が長年気になっていたドアの建て付けも、数分で解消(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

診断結果は、最終的に200項目以上の診断書にまとめてくれる。

点検者の遠藤さんが気を付けていることは、なんでもかんでも「オオゴト」にしないということだ。

「いたずらに、あそこも悪い、ここも悪いと言われると、住んでいる人も気持ちのいいものではありません。本当に大きな問題になるところ以外は、経過観察をお勧めします。毎年、検査していると悪くなっているところ、直したほうがいいところは自ずと分かってきますから」

家の診断も人間の診断と同じで、悪いところばかりを指摘されると逆に気分が落ち込んで病気になってしまう。「ここは簡単に直りますよ」と言われると、それだけで安心できる。小さな故障のうちに直しておけば、費用も結果的に節約になる。

報告を受けた岸本さんも安心した様子だ。「実はずっとキッチンの蛇口が気になっていたんですが、建てた工務店に連絡してもなかなか来てくれなくて不安でした。今回診てもらって安心しました」と岸本さん。

「家ドック」とは人間ドックの住まい版だ。何より、戸建の住宅管理に関する相談窓口があることは、安心感も大きい。今後、インスペクションが浸透していけば、同じエリアの同じ築年数の建物でも、売却価格に差が出てくるようになるだろう。マイホームで快適に暮らすためにも、そして資産価値の維持のためにも、頭に入れておきたいサービスだ。

●取材協力
・日本戸建管理「家ドック」
・富士ツバメ株式会社
・株式会社創建 ルナ田原台クルムガーデンズ
・株式会社創建 ルナ守谷クルムシンフォニー ●関連記事
・一戸建ての「管理」と「修繕」、どうしたらいいの?元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2017/09/140530_main.jpg

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賃貸・6畳一間の和室、自分らしくおしゃれに飾る方法は? 和室愛にあふれる24歳の女性に聞いてきた

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賃貸・6畳一間の和室を、自分らしくおしゃれに飾る方法は? 和室愛にあふれる24歳の女性に聞いてきた

旅行先の旅館や実家の和室で畳を見ると、座布団に座るよりも先に、「ああー」とくつろぎの声を出し、とりあえずごろごろしてしまう方は多いのではないでしょうか。

和室にはお手頃な家賃の物件が多めです。けれども、一人暮らしの部屋を探す時「和室を探して住んだ」という方はあまり見かけません。和室は築年数が経っている物件が多い上に、特に若い女性では、洋室に慣れている人が多いことなどが理由です。

しかし、世の中には和室ライフをエンジョイし、和室でもおしゃれに、快適に暮らしている人もいます。今回は和室で一人暮らしをしている宇佐美ゆきさん(仮名)に、和室を選んだ理由や和室のよさ、和室をおしゃれにする秘訣を伺いました。
和室を選んだのは偶然 でも憧れはあった

宇佐美さんは、社会人1年生。就職とともに和室に引越してきて4か月ほどが経ちます。その前は10畳の広さがある洋室での一人暮らしをしていました。そんな宇佐美さんが和室を選んだのはなぜでしょうか。

「和室限定で物件を探していたわけではありませんでした。絶対条件が『独立洗面台』で、でも独立洗面台のある物件だと家賃が高くなってしまいます。それでも、浴室に洗面台があるのがどうしてもいやだったんです。それで『和室可』の物件も視野に入れると、古いタイプの和室アパートなら、洗面台が別という物件が割とあって、その中からいまの部屋を選びました。譲れない希望と家賃のバランスをとった結果です」

なるほど、和室が選ばれるのはそういった点が作用することもあるのですね。ここはお部屋を探す上で参考にしたいポイントです。なお、浴室はシャワーだけで浴槽はありませんが、特に不便は感じていません。古い学生街のため銭湯が近くに3軒あり、この先冬の寒さが厳しくなってお湯が恋しくなる日は、力強い味方になるからです。

以前の住まいも、ご実家も和室ではなく、今回初めて畳暮らしをするという宇佐美さんですが、不安はなかったのでしょうか。

「一生に1度は和室に住んでみたかったので、期待のほうが大きかったです。ただ、内見をせず写真だけで決めたので、引越し当日にドアを開けるまではやはり不安もありました。すごく古かったらどうしよう、と」

そして引越し当日、初めて見た部屋の印象は?

「外観は古いので覚悟していましたが、中に入ってみると、しっかりリフォームされていて、壁もきれいで、なにより新しい畳のいぐさの香りがすごく良くて、すぐに気に入りました」

こうして、宇佐美さんの和室生活がスタートします。

【画像1】入居前の何もない部屋。ここから新しい暮らしが始まります。リフォームがしっかり施され、きれいに見えます(画像提供/宇佐美ゆき)

【画像1】入居前の何もない部屋。ここから新しい暮らしが始まります。リフォームがしっかり施され、きれいに見えます(画像提供/宇佐美ゆき)

【画像2】引越し当日に運び入れられた荷物。ここから引越し作業スタートです(画像提供/宇佐美ゆき)

【画像2】引越し当日に運び入れられた荷物。ここから引越し作業スタートです(画像提供/宇佐美ゆき)

畳でごろごろ お布団でもごろごろの快適生活

宇佐美さんはそれまで使っていたベッドを実家に送り返し、畳の部屋での布団生活を始めます。ベッドと違って、布団は毎日の上げ下ろしが気になるところですが、面倒ではないのでしょうか。

「布団の上げ下ろしは気になりません。それより、布団だとベッドよりごろごろとくつろげる感じがすごく気に入っています。それまで住んでいた部屋は10畳あって正直持て余していましたが、今は6畳になってこじんまりしているのも、かえってくつろげるポイントになっています」

【画像3】おそるおそる入居を開始した当時(画像提供/宇佐美ゆき)

【画像3】おそるおそる入居を開始した当時(画像提供/宇佐美ゆき)

宇佐美さんの部屋は昔ながらの和室ということもあり、押入れやクローゼットがあって収納力抜群です。ただ、来客用の布団なども入れると割といっぱいになってしまい、普段の自分の布団は外に出しているそうです。

キッチンはごくごく一般的なものですが、コンロを自分で用意しておくタイプで、まだ変えていないので、ポータブルのIHコンロを置いているとのことでした。

研究&研究で理想のインテリアに出会う

さて、引越しにあたって、新しい部屋をどう作っていこうかと宇佐美さんは悩みました。インスタグラムを始め、素敵な部屋の写真をアップしている人のサイトを見て、ああでもない、こうでもないと悩むうち、「これだ!」と参考になりそうなものを見つけました。

「インスタグラムを見ていて、これがいいなと思ったのは無印良品のブラインドと照明(ペンダント)です。実際に使用されている方の写真を見て、すぐに買いに行きました。照明は取り付けるだけでしたが、ブラインドは窓の大きさに合わせてオーダーしたものを使っています。色も数色あるので、部屋に合うものを選びました」

【画像4】左が無印良品のブラインド、右が照明ペンダント。出窓にブラインド、ベランダ側にカーテンでメリハリがついています(画像提供/宇佐美ゆき)

【画像4】左が無印良品のブラインド、右が照明ペンダント。出窓にブラインド、ベランダ側にカーテンでメリハリがついています(画像提供/宇佐美ゆき)

たしかに、ブラウンのブラインドは、鴨居などに使われているシックな色合いとよく調和しています。そして、ひそかにそれを盛り上げているのが、角部屋のもう一方の窓にかけられたカーテンです。こちらはアースカラーですこし明るめで、やはりシンプルなものです。シンプルな照明のペンダントと、このバランスがすごい。この部屋の3大ポイントになっているようです。

なお、お話を伺った日の宇佐美さんは、かざりけのないネイビーのシンプルなTシャツとベージュのマキシスカートをとてもセンスよく着こなしていました。そんなシンプル上級者のセンスが、部屋づくりにも生かされているように感じられました。

【画像5】カーテンの裾のほつれは自分でミシンで修正。ちょっとした手間が部屋への愛着を一層深くさせます(画像提供/宇佐美ゆき)

【画像5】カーテンの裾のほつれは自分でミシンで修正。ちょっとした手間が部屋への愛着を一層深くさせます(画像提供/宇佐美ゆき)

ここが自慢! 和室のおしゃれポイントと楽しみ方とは

実はロックが好きだという宇佐美さん。ただ、いまの部屋は壁が薄く、大音量では聞けないのが少し不満です。けれど、いまは部屋づくりという楽しみを得てそちらに集中しているとか。その中でも力をいれているのが、壁の装飾です。

「壁にドライフラワーを下げています。もともとドライフラワーが好きで、買ってきて鴨居に少しずつ飾るようにしました」

【画像6】気に入ったドライフラワーを飾って、殺風景な部屋を自分らしく(画像提供/宇佐美ゆき)

【画像6】気に入ったドライフラワーを飾って、殺風景な部屋を自分らしく(画像提供/宇佐美ゆき)

ドライフラワーはシンプルなものから華やかなものまで、グラデーションするように壁にかけてあり、カフェのような雰囲気。これだけでも十分な気がしますが「まだ増やしたいですね。ドライフラワーが好きなので」と宇佐美さんは言います。なお、ドライフラワーは自作ではなく、いつも購入しているとのことですが、こんなふうに飾られるのであれば、ドライフラワーもうれしいのではないかと思ってしまいました。

【画像7】几帳面に整理されたお洋服(画像提供/宇佐美ゆき)

【画像7】几帳面に整理されたお洋服(画像提供/宇佐美ゆき)

収納は、同じシャツをきれいに、まるで開店したばかりのお洋服屋さんのようにならべてあり、壮観です。几帳面な人柄がうかがえるようです。

部屋づくりのコツとしては、先ほどの照明、カーテン、ペンダントのように「シンプル」にするとおしゃれになるのでは、とアドバイスをくださいました。

いぐさの香りでディフユーザー無用!

そのほかに、この部屋で気に入っていることを伺いました。

「なんといっても匂いです! アロマディフューザーを買おうと思っていたのですが、いざ住んでみると、いぐさの香りがとてもよくて、そんなものはいらない! と確信しました。本当に癒されます。まだ新しいということもありますが、しばらくこの香りとともに過ごすことができそうです」

たしかに、今は少なくなりましたが、街の畳屋さんの前を通るときに漂ってくるあの匂いってなんだか懐かしくて安心します。あの匂いが帰宅して待っていてくれたら、うれしいだろうなと、想像してしまいました。

和室暮らしの夢はふくらむ 次はちゃぶ台をゲットしたい!

最後にこれから和室に住もうと思っている人へのおすすめポイントや、アドバイスについてお伺いしました。

「畳の部屋は洋室に比べて、やはり湿気が多いのです。ですから、家具は直接置くタイプではなく、脚付きのものにするか、家具と畳の上にマットなどを敷くとよいですよ」

これまでも古民家が好きで、ついに念願の和室生活を送っている宇佐美さん。住めるまでずっと今の部屋に住みたいと思っているほど和室愛にあふれていました。近いうちに欲しいものは、使わないときには畳んでしまえる、脚付きのちゃぶ台だそうです。もちろん、昔のドラマやアニメに出てくる丸いあのちゃぶ台です。格安インテリアショップ等ではイメージに合うものが見つからなかったため、アンティークショップやリサイクルショップなどで探したい、と話してくれました。

日本人を支えてきた畳の部屋「和室」はわたしたちの心の奥底にあって、あなたをきっと優しく迎えてくれることでしょう。シンプルを楽しむ宇佐美さんの楽しそうな様子から、和室の懐の深さを感じることができました。

物件探しに迷っている方は「和室」も視野に入れて探すことで新しい世界が開けるかもしれません。

元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2017/09/140940_main.jpg

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もし、車椅子生活になったら。突然、下半身不随になった建築家が考える“ずっと住める家”とは

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もし、車椅子生活になったら。突然、下半身不随になった建築家が考える“ずっと住める家”とは

25歳のときに、病気で突然下半身不随になった建築家の丹羽太一さん。彼は家づくりの専門家として、また障がいを持つ当事者としての知見を、書籍『体験的ライフタイム・ホームズ論 車いすから考える住まいづくり』(彰国社)としてまとめました。ライフタイム・ホームズとは、どんな家なのでしょうか? ご自宅を拝見しながら、丹羽太一さんとパートナーの丹羽菜生さんにお話をうかがいました。
車椅子生活になったら、住める家が見つからなかった!

近ごろはバリアフリーを掲げる一戸建てやマンションも増えてきました。2006年に公共の場所の段差や階段をなくすことなどを定めた「バリアフリー新法」が施行されたことも、影響しているのでしょう。しかし実は当事者の身になってみると「バリアフリー住宅だからといって、車椅子でも住みやすい家であるとは限らない」という問題が、今でもあるといいます。

建築家の丹羽太一さんは、1992年、大学の研究室に所属する25歳のとき、難病の前脊髄動脈症候群になりました。下肢の動きを失い、手の可動域も限られて車椅子使用者に。2年の治療、リハビリ期間を経て研究室に復帰した1994年当時、介護を受けながら暮らす部屋を探すのに、苦労したそうです。

もしも自分が病気や怪我、加齢などで動けなくなったとき、住みやすいのは果たしてどんな家か? 一般に家を持つのは健康で働き盛りのタイミングが多いもの。でも怪我や病気がなくても、歳をとれば身体が不自由になるときはやってきます。その可能性を考えずに住宅購入をしてしまうと、「ローンを払い終わったころには、購入した家に住めない!」という悲劇も起こりかねません。

建築家であり、また車椅子使用者である丹羽さんは、健康なときも、身体が不自由になり、介護が必要になったときも暮らしやすい家を提案しています。

「今あるライフスタイルと、そこからの時間軸で自分の生活を想い描いてみて、それに合わせていける家を考えることが、ライフタイムで家を考えるということだ」と、自著で述べる丹羽さん。「ライフタイム・ホームズ」とはどんな家なのか、私たちが家選びをする際に参考にできる点などを、丹羽さんご夫妻にうかがいました。

【画像1】丹羽太一さん、菜生さん夫妻。出会いは大学の研究室で知り合う。菜生さんが車椅子の人に身近に接したのは、太一さんが初めてだったそうです。(写真撮影/蜂谷智子)

【画像1】丹羽太一さん、菜生さん夫妻。出会いは大学の研究室で知り合う。菜生さんが車椅子の人に身近に接したのは、太一さんが初めてだったそうです(写真撮影/蜂谷智子)

障がい者、ヘルパー、家族が心地よくいられる“開かれた家”とは?

「障がいを負った人が、社会生活に復帰するときに一番のハードルは病院を出て暮らすことです。僕のように障がいの程度が重いと、常時何らかの介護を受けることが必要ですから、ヘルパーが必要です。そうすると家は、“自分の空間”というよりも、“他者と心地よい関係を保てる空間”であることのほうが重要になってきます」(丹羽太一さん。以下、太一さん)

バリアフリー住宅というと構造のことを指していうことが多いのですが、他者の手伝いなくしては生活がままならない重度の障がい者にとって、一番大切なのは人との関係性。太一さんも社会復帰の際は、まずヘルパーをたくさん確保することから準備を始めたそうです。

多くのヘルパーが必要な理由は、家族などの限られた人に頼ると、その人がいなくなったら自分も生きていけなくなってしまうから。依存先を増やし、風通しのよい空間をつくることが、障がい者の自立にはとても大切なのです。

「この家にはふたつ入り口があります。1階と2階のウッドデッキそれぞれに出入り口を設けてヘルパーが出入りしやすいようにし、また、ヘルパーの来訪時であっても家族のプライバシーが保てるようにしています。障がい者が家族と暮らしている場合は、ヘルパーと家族が一定の距離を保てるようにすると、お互いに気が楽です」(太一さん)

【画像2】ヘルパーは階段とつながるウッドデッキから、直接太一さんの居るオフィス兼住居に入る(写真撮影/蜂谷智子)

【画像2】ヘルパーは階段とつながるウッドデッキから、直接太一さんの居るオフィス兼住居に入る(写真撮影/蜂谷智子)

【画像3】大きな掃き出し窓からウッドデッキにつながる室内。開放感があると同時に、どこに居ても太一さんの様子を確認できる(写真撮影/蜂谷智子)

【画像3】大きな掃き出し窓からウッドデッキにつながる室内。開放感があると同時に、どこに居ても太一さんの様子を確認できる(写真撮影/蜂谷智子)

太一さんは、車椅子生活になった後に同じ研究室で出会った菜生さんと結婚し、ふたりで建築事務所を開設しました。もちろんこの事務所兼自宅もパートナーの菜生さんとの共作。この家はふたりの建築家としての家に対する理念と、夫婦それぞれの暮らしやすさが追求されています。

「家族の立場からいうと、ヘルパーさんの出入りは毎日のことなので、家族もある程度プライバシーが保てないと疲れてしまいます。ですから介護が必要な人との同居の場合、この家のように入り口を複数設けないまでも、ヘルパーさんが出入りしやすく、かつ、部屋までの移動が必要最小限度であるような動線が描けているとよいですね」(丹羽菜生さん。以下、菜生さん)

介護が必要な人がいると、家族は常に気がかりなもの。そんななかでも、お互いのプライベートを尊重し、他者の力をスムーズに借りられるような環境をつくれば、介護される側も家族も息抜きができます。

【画像4】地下はヘルパーの入らない夫婦のプライベートなスペース。奥が仕事場。上階からの移動はエレベーターを使う(写真撮影/蜂谷智子)

【画像4】地下はヘルパーの入らない夫婦のプライベートなスペース。奥が仕事場。上階からの移動はエレベーターを使う(写真撮影/蜂谷智子)

思えば昔の日本の家は、縁側があったり土間があったりと、外部に開かれていました。一方でプライバシーをしっかり守ることに優れている現代の住宅は、密室化し住人が孤立してしまうリスクを含んでいます。多くの人が将来、なんらかの理由で人の手を借りて生きることを考えると、もう少し家をオープンな場にする必要があるのかもしれません。

玄関や水まわりに少し余裕をもたせることで「ライフタイム・ホームズ」を実現する

丹羽さんは、障がい者の基準のみで家を考えているのではありません。彼が提案する「ライフタイム・ホームズ」は、今あるライフスタイルにフィットしつつ、長い時間軸で変化する生活にも合わせていける家のこと。それは住む人が希望する理想の生活であり、そこに介護が必要になった未来も含むということです。

「人間は変化していきますから、時間を追って家も変化に対応する必要が出てきます。特に家を建てたり買ったりするときには、万が一身体が不自由になったら乗り越えられないようなハードルがないかどうかも、ある程度考えておく必要があるでしょう。生活に介助が必要な場合、玄関と水まわりが一番問題になります。実際にリフォームに関わっている方に聞いても、そこが一番ネックだといいますね。お風呂、トイレは生活の根本に関わるので……」(太一さん)

日本の住宅は建築基準法によって基礎部分に30cm以上高さが必要と定められている関係で、玄関先に大きな段差があることが多いのです。またトイレや風呂などが、他人が入れないようなつくりだと、介助してもらえませんし、もちろん車椅子も入れません。いざ身体が不自由になったときに、自分の家に出入りできない、トイレや風呂が使えない……といったことだと困ります。

【画像5】丹羽さんの家の水まわり。トイレと洗面が一体化している広々としたつくり。間を引き戸で仕切っている。(写真撮影/蜂谷智子)

【画像5】丹羽さんの家の水まわり。トイレと洗面が一体化している広々としたつくり。間を引き戸で仕切っている。(写真撮影/蜂谷智子)

「バリアフリー法関連で規制されているのは、マンションだったらエントランスや廊下などの共用部分だけで、住戸の中までは言っていません。(他にも品確法の中にバリアフリー性に関する基準[高齢者等配慮対策等級]という項目はありますが、法律ではないので必ずしもそこまで対応しているとは限らない)ですから実は、バリアフリー法があるといっても室内のバリアフリーに関しては対応はさまざまです。
でも例えばトイレやお風呂を少し工夫すれば、随分いろんな状況の人が住めるようになります。そこを対応可能なつくりにしておくと、高齢者も入居できますし、一度入居した人が長く住める。現状はまだ、バリアフリーという面では問題が多い家がつくり続けられています」(菜生さん)

太一さんによれば、住人が健康なうちは完全にバリアフリーである必要はないそう。介助が必要になりそうなトイレや風呂、昇降が困難になりそうな階段の周辺にスペースの余裕をもっておいて、いざ介助が必要になったら、改装できるようにしておくする方法もあります。必要になるまでは、そのスペースは収納などに活用する。そうやって柔軟に変化できる家ならば、健康な人も障がいを持つ人も、どちらも暮らすことができます。

家を買うとき、人は自分の未来の生活をそこに託すもの。健康なとき、そして身体が不自由になったときも自分らしく暮らせる「ライフタイム・ホームズ」という視点は、高齢化が進むこれからの社会では、さらに重要になってきそうです。

立地や広さだけが、住宅の価値ではない時代へ

太一さんは「ライフタイム・ホームズ」が増えることは、社会的な資産になるといいます。

「一般的には高齢者の介護が想像しやすいかもしれませんが、障がい全般に視野を広げると、そのあり方は実に多様です。車椅子が入る広さを確保するとか段差を減らすであるとかの、数値的な環境を整えればよいということではなくて、もっと個々のニーズに耳を傾け、対話することが必要。最近はそういった考えが広まりつつあり、社会の認識も徐々に変わってきています」(太一さん)

例えば足が動かない人と、目が見えない人、精神疾患を持つ人にとって何が生活の「バリア」になるかはそれぞれ違います。個々のケースに耳を傾け、みんなが過ごせる環境をつくることが、本当の意味でのバリアフリーになるのでしょう。

「近年、社会が個別性とか対話性を重要視するようになったことを、個人のレベルに深めて考えていくと、一般の人でも住宅についてもっと自分で考え、希望を述べるべきということではないでしょうか。障がい者の個性にとって障がいは分かりやすい属性個性ですが、健康な人だってそれぞれ個性的なはずですから。多様な希望や要望に添える家、状況によって変化できる家が増えれば、地域の財産にもなると思うのです。それが、“家が社会資本になる”ということです」(太一さん)

空き家が増え高齢化が進んだ社会では、健康な人しか住めない家はニーズが低くなっていくかもしれません。自分が住むことはもちろん、資産として家を見たときも「ライフタイム・ホームズ」が価値を持つ可能性は多いにあります。

家を探すときはまず立地や広さを重視するのが一般的だと思いますが、「多様な人が心地よく暮らせる家」であるかどうかも、考えに入れる必要があるのではないでしょうか。

●取材協力
・BASSTRONAUTS元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2017/09/141072_main.jpg

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「メンテナンスフリー外壁」が注文住宅で大人気!ところでそれってなに?

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「メンテナンスフリー外壁」が注文住宅で大人気!ところでそれってなに?

住宅生産団体連合会(住団連)の「2016年度戸建注文住宅の顧客実態調査」の結果が公表された。注目したいのは、「採用したもの」「採用の有無にかかわらず特に関心が高いもの」の断トツ1位に挙がった「メンテナンスフリー外壁」だ。【今週の住活トピック】
「2016年度戸建注文住宅の顧客実態調査」結果を報告/(一社)住宅生産団体連合会調査結果で注目される「メンテナンスフリー外壁」

この調査は、三大都市圏と地方都市圏に注文住宅を建てた人を対象に住団連が毎年行っているもので、2016年度版で第17回目となる。
まず、調査結果の概要を紹介しよう。

世帯主年齢の平均は41.0歳。建て替えにより新築した割合は28.9%、更地に新築した割合は57.4%、親の土地(相続含む)に新築した割合は11.7%で、更地に新築が過半数となっている。

建築費(土地の取得費は含まない)の平均は前年度より84万円増加の3454万円で、1m2当たりの平均建築費単価は26.5万円(前年度25.4万円)と一気に上昇した。

さて、筆者がこの調査結果で注目したのは、今回から追加された「特に重視した最新設備・建材・技術」についてだ(画像1参照)。

【画像1】最新設備・建材・技術について、顧客が採用したもの、採用の有無にかかわらず特に関心が高かったもの(出典:住団連「2016年度戸建注文住宅の顧客実態調査」)

【画像1】最新設備・建材・技術について、顧客が採用したもの、採用の有無にかかわらず特に関心が高かったもの(出典:住団連「2016年度戸建注文住宅の顧客実態調査」)

顧客が採用したものでは、「メンテナンスフリー外壁」が 41.1%で最も高く、次いで「エコキュート」(35.4%)、「HEMS(ヘムス)」(32.0%)の順となった。次に、採用の有無にかかわらず、特に関心が高かったものを見ると、こちらも「メンテナンスフリー外壁」が 20.0%で最も高くなり、次いで「構造システム(免震・制震等)」と「ZEH」(ともに 12.7%)の順となった(不明を除く)。

注文住宅の顧客が重視している「メンテナンスフリー外壁」とは、どういったものなのだろうか?

修繕の時期を延ばすことでメンテナンス費用を抑えられる点が魅力

「メンテナンスフリー外壁」について、建築家の原田正史さんに詳しい話を聞いた。

以前から業界では、外壁や屋根で大掛かりな修繕時期を延ばすことができる材料や工法を説明するときに「メンテナンスフリー」という言葉を使っていたが、最近は建材メーカーなどが力を入れて新商品を提供していることから、最新設備として注目されるようになったという。

外壁は、常に外気にさらされるので、汚れの付着や劣化が進みやすい。10年~15年経つと大掛かりな修繕が必要となるケースが多いが、面積が広いうえに足場を組む必要があるなど、修繕費用が高額になる。「メンテナンスフリー外壁」に決まった定義があるわけではないが、まったくメンテナンスが不要なわけではなく、修繕時期を延ばすことがポイントで、長期的なメンテナンス費用を抑えられる点が大きなメリットとなる。

修繕時期を延ばすには、雨や太陽光(紫外線)を避けることが大切で、次のようなことが必要となる。
・耐久性の高い外壁材を使う
・光触媒塗装で汚れを落ちやすくする
・屋根の庇を長くするなど設計上の工夫をする

「耐久性の高い外壁材を使う」は、堅牢なタイルや屋根材などを外壁に使ったり、ALC(軽量気泡コンクリート)やサイディングなどの外壁パネルでも高耐久性塗料を塗ったり、劣化の早い目地に耐久性のあるものを使ったりすることで、外壁の修繕時期を15年や20年に延ばすことができる。

「光触媒塗装」とは、外壁の寿命を延ばすことができる技術で、外壁に付着する紫外線による汚れを光触媒効果によって分解し、親水化された塗膜で雨が汚れを洗い流すことができる塗料を塗装すること。

この調査では「光触媒塗装」を別項目として聞いているので、調査でいう「メンテナンスフリー外壁」は、耐久性の高い外壁材を指していると考えらえる。

「メンテナンスフリー = 何もしなくてよい」と考えがちだが、そういうわけではない。塗料の塗り替えや目地のシーリングの打ち直しが必要になったり、施工の精度が低ければ効果が期待できないということもある。定期的な点検など、メンテナンス計画もきちんと考えておく必要があるだろう。

●取材協力
・建築家・原田正史さん元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2017/09/141015_main.jpg

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家の中で掃除したことのない場所ってある?今日からできる、汚れをためないお手入れのコツとは

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家の中で掃除したことのない場所ってある?今日からできる、汚れをためないお手入れのコツとは

日ごろの掃除や大掃除でも、今までにほとんど手をつけたことのない場所があるとしたら、もはや自分の手には負えないかも……。そこでお掃除のプロに相談。家の中で掃除されにくい場所と、手遅れになる前に自分でできる対策をアドバイスしてもらいました。
みんなが気になっている、ベタベタのレンジフードと隠れ汚れが多い浴室

何年も住んでいるのに、ほとんど掃除をしたことがない場所。あなたの家にはありませんか? 恥ずかしながら筆者は、掃除を怠ったために苦い思いをしたことが何度もあります。

「苦い経験 その1」は、浴室の鏡。今の家に住んで2年ほどたったある日、浴室の鏡一面に白いウロコ状の汚れがこびりついているのを発見! 焦ってあの手この手を試したけれど、元通りのキレイな鏡には戻りませんでした。

「苦い経験 その2」は、24時間換気システムの給気口。機密性の高いマンションは計画的な換気を行うためにそんなシステムがあって、壁に空気を取り込む穴があることは知っていました。でも、ほとんど気にせず暮らすこと数年、気がついたときには給気口の周囲が真っ黒に! 壁の黒ずみを見ると心が痛みます……。

実はほかにも、「掃除をしなければ」と思いながら手をつけていない場所がいくつか。気になる場所があるのは筆者だけではないはず。ということで、ダスキン広報の古屋さんに聞いてみました。

――ハウスクリーニングに訪問して、汚れのひどさに驚くことはありますか?

「何年も掃除をされていなくて、汚れがシミのレベルまで行ってしまっているケースはあります。まれなケースですが、ハウスクリーニングで対応できない場合は、材質や部材の交換をおすすめすることもあります。またエアコンクリーニングでは、内部のホコリやカビのために洗浄水が真っ黒になり、こんなに汚れていたのかと驚く方もいますね」(ダスキン・古屋さん 以下同)

――家の中で掃除されにくい場所はどこでしょう?

「当社が行った“ダスキン2016年末大掃除 実施意向調査”によると、年末に最も掃除したい場所は、レンジフード・換気扇が第1位、窓・網戸が第2位、浴室が3位でした。昨年は台風が多かったことから、例年以上に窓・網戸の掃除意識が高い結果でしたが、上位の顔ぶれは毎年ほぼ同じです」

【画像1】年末に大掃除したい場所はレンジフード・換気扇という回答が圧倒的に多い「ダスキン2016年末大掃除 実施意向調査」より(画像提供/ダスキン)

【画像1】年末に大掃除したい場所はレンジフード・換気扇という回答が圧倒的に多い「ダスキン2016年末大掃除 実施意向調査」より(画像提供/ダスキン)

「また、当社HPに掲載しているハウスクリーニングの人気ランキングを見ると、夏場はエアコンクリーニングの依頼が増えますが、年間を通じて上位にランクインしているのがレンジフードクリーニングと浴室クリーニング。年末大掃除の動向とも重なり、みなさんが気になっている場所ですね。
汚れは気になるけれど、億劫(おっくう)だったり、掃除のやり方が分からなかったり、手に負えなかったり。結果、年末にまとめてやろう、プロに頼もうという選択になるのでしょう」

――確かに、油汚れが手強いレンジフードは掃除を敬遠しがち。でも浴室は、よく掃除されている場所では?

「浴室は、隠れ汚れが多いんです。ご存じのように、浴室の汚れの代表格がカビ。酸素、皮脂などの栄養分や、温度、湿度が生育条件になるため、梅雨時から湿度と気温が高まってくると急激に発生し、秋には浴室中がかなり汚れた状態に。窓のヘリ、風呂フタの裏、排水口、洗面器やシャンプーボトルの裏などは、目が届かないがゆえにカビ汚れが放置されがちです」

【画像2】風呂ふたや洗面器など汚れに気が付きやすいものから、換気口や浴槽エプロンの内部など汚れに気が付きにくいものまで、浴室内には隠れカビ汚れがたくさん(イラスト/SUUMOジャーナル編集部作成)

【画像2】風呂ふたや洗面器など汚れに気が付きやすいものから、換気口や浴槽エプロンの内部など汚れに気が付きにくいものまで、浴室内には隠れカビ汚れがたくさん(イラスト/SUUMOジャーナル編集部作成)

「なかでも浴槽のエプロン内部は、一度も掃除をしたことがない人もいるのでは。浴槽の側面にエプロンと呼ばれるパネルがついたタイプは、内部に汚れがたまりやすく取り外して掃除する必要があります。普段は見えないので汚れに気づかず、開けてビックリ!ということが少なくありません。ただ、エプロンの取り外しはけっこう大変なので、プロに任せたほうがいいでしょう」

――私も初めてエプロンを外したときは愕然としました。ほかにも見過ごしがちな場所はありますか?

「窓や網戸は、排気ガスや花粉、土砂ホコリなどがついて、思った以上に汚れています。窓まわりのブラインドやカーテンは、外部から侵入した汚れと室内で発生したホコリの両方をため込みやすい場所。常に雨や風にさらされているバルコニーやベランダは、さらに汚れがひどいですが、普段の掃除では室内が優先され、どうしても見過ごされがちです」

汚れは軽いうちに取る。ちょっとした工夫と意識で効率的に掃除する

――今までに一度も掃除したことがない場所は、もはや手遅れでしょうか?

「汚れは時間とともに変化します。ホコリは最初、いろんな場所にフワフワと軽く乗っている状態で、モップで簡単に取れます。しかし時間がたって水分や油分を含んでくると、軽い汚れから、ベタベタした汚れに変わり、最終的には材質の表面に染み込んでシミになってしまうことも。当然、掃除のタイミングは軽い段階のほうがラクです」

【画像3】ホコリは、放っておくと拭いても取れないシミへと変化してしまう(イラスト/SUUMOジャーナル編集部作成)

【画像3】ホコリは、放っておくと拭いても取れないシミへと変化してしまう(イラスト/SUUMOジャーナル編集部作成)

「カビも同じで、早い段階なら中性洗剤で取れたものが、ガンコな汚れになると取れなくなってしまいます。パッキンやタイル目地に入り込んだカビ汚れは、時間をおいてカビ取り剤を浸透させる必要があり、素材を傷めることに。そこまでいくともう完全に取るのは難しく、場合によっては削る、パッキンを張り替えるなど、リフォームが必要になってしまうケースもあります」

――そんな事態を避けるには、やっぱりこまめに掃除をするしかない?

「汚れが軽いうちにこまめに掃除が基本ですが、仕事や育児に追われている人も多いでしょう。簡単に使える掃除道具を用意して、“ついで掃除”を心がけるなど、限られた時間のなかでいかに効率化を図るかが大事です。

例えば、浴室に水切りワイパーや吸水クロスを置いておき、お風呂から上がったら、(1)浴室内に冷水をかけて温度を下げる (2)ワイパーで水を切る、またはクロスで水気を拭く (3)換気をする。これさえやっておけば手に負えない状況にはなりません。家族の誰がやるかを決めて、ルーティンにするといいでしょう」

ため込んでしまった汚れは一度リセット。それから予防策を実践

――ほかに予防策はありますか?

「レンジフードは市販されている交換用フィルターを使うことで、内部へ油汚れが侵入するのを防げます。浴室にはカビ予防のコーティング剤を使う手も。壁などに塗布すると被膜がカビの発生しにくい状態にしてくれます。

でもその前に、まずはたまった汚れをリセットすることが先決。一度リセットして完全にきれいな状態にしてから予防策を講じないと効果を発揮できず、なかなかきれいな状態を維持することはできません」

――たまってしまった汚れ、自力でリセットできるでしょうか?

「そういうときこそハウスクリーニングを活用してください。掃除のプロは用途に合わせた専用洗剤や資器材を使い、すみずみまでスッキリきれいにしてくれます。リセット後の予防策や、きれいな状態を日常生活のなかで無理なく維持できる掃除法も喜んで教えてくれますよ」

【画像4】(写真/PIXTA)

【画像4】(写真/PIXTA)

一度きれいな状態に戻すことができれば、気分もスッキリ。次は心を入れ替えて、しっかり対策できそうな気がします。「年末の大掃除でもいいですが、冬は寒いので掃除をするのも大変です。年末に限らず、やりやすい時期にやるのがおすすめです」と古屋さん。過ごしやすい今のうちに、さっぱりリセットを目指しましょう。

●取材協力
・株式会社ダスキン元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2017/09/141034_main.jpg

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