
ドローンやラジコン機など、無人航空機の飛行を規制する改正航空法が12月10日より施行される。カメラを搭載したドローンにマンションの室内をのぞかれる、といったプライバシー侵害は防げるようになるのだろか?
窓の外にドローンが飛んでいたら驚くよね!?
11月初旬、「ブーン」という聞き慣れない音が自宅ベランダ(4階)の向こうから聞こえてきた。窓を開けると、大きなカメラを抱えた本格的なドローンが宙に浮かんでいるではないか。
「なんだ、コレは!?」
道路をはさんだ隣地ではマンション建設が予定されており、今は柵で囲まれたさら地となっている。柵の中には2人の人影が見えたので、マンション完成後の眺望予想写真でも撮っているのだろうか。最近ではドローンが撮った写真を、部屋ごとの価格設定をする際の資料としても使用することがあるようだし、どうやら関係者が飛ばしているのだろう。
“身元”は分かったのだが、勝手にのぞかれているようで、なんだか気分が良くない……。と思っていたら、こうしたドローンの飛行を規制する「航空法」が改正され、12月10日から施行されると言うではないか! さっそく調べてみた。
住宅街での飛行はほとんどが規制の対象となり、飛行許可が必要コントロールを失ったドローンが線路や混雑する場所に墜落した事件を憶えているだろうか? 増えるドローンを放置すれば地上の人や建物、有人の飛行機にも危害を及ぼす恐れがあることから、「無人航空機の飛行に関するルール」を策定するのが航空法改正の趣旨だ。規制対象は遠隔操作や自動操縦で飛行させるドローン(マルチコプター)やラジコン機で、200g未満の機材は対象外となっている。小さなホビー機は危険が少ないから対象外ということだろう。
■ポイント1 以下の場所は飛行禁止空域。飛行させる場合は大臣の許可を必要とする
A)空港周辺の空域
B)地表または水面から150m以上の高さの空域
C)人口密集地域の上空

【画像1】A~Cでの飛行は国土交通大臣の許可が必要(画像出典:国土交通省)
■ポイント2 以下の飛行の基本ルールを定め、それ以外の場合は大臣の承認を必要とする
1)日中に飛行させること
2)無人航空機とその周囲を目視により常時監視すること
3)人又は物件(建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
4)多数の人が集まる催しが行われている場所の上空で飛行させないこと
5)爆発物など危険物を輸送しないこと
6)無人航空機から物を投下しないこと
■ポイント3 違反した場合は50万円以下の罰金を課すこと
人口密集地の具体的な場所は統計局のサイトから調べることができるが、東京23区はすべてが対象となるなど、マンションが建っているような市街地ではほとんどが飛行規制の対象エリアとなる。筆者が目撃したドローンも今後は飛行許可を取る必要が生じるのだ。
ただ、残念ながらこのルールはドローンの飛行を規制するもので、撮影を禁止したりプライバシー侵害を防いだりするものではない。許可制にすることでドローンの“身元”を明らかにし、安全確保や問題が生じた際の責任明確化を図ろうとするものなのだ。また、200g未満の小型ホビー機は規制対象外となるから、許可を得ていない200g未満の“身元不明”小型ドローンが窓の外を飛ぶ可能性は残るのだ……。
となると、不審なドローンからプライバシーを守るために我々ができることは、まず飛行を規制する法律の存在を知っておくことだ。そのうえで、不審な動きを見せるドローンを見つけたならば、すぐに警察に通報するといいだろう。盗撮だけではなく、思いがけない事故や、犯罪行為を防ぐことにもつながるはずだ。
また、総務省からは『「ドローン」による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン』が公表されている。こちらはドローン使用者に対して、「カメラを住宅地に向けない」、「顔やナンバープレートにはぼかしを入れる」などの注意を促す内容となっている。ドローンに撮影されたかもしれないと思ったときには、削除依頼を行うなどの対処法を考える参考となるだろう。
ドローンは輸送や撮影分野の未来に変革をもたらす可能性を秘めたテクノロジーであることは確かだ。その未来を閉ざさないためにも、利用する側にもルールの順守を期待したい。
●参考・「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」(国土交通省)
・「ドローン」による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン(総務省)
・「人口集中地区」が調べられるサイト」(jSTAT MAP)元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2015/12/102220_2.jpg
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